インバウンド消滅…健康食品会社が社運を託したキノコとは? コロナ禍の逆境打開なるか

京都新聞社 京都新聞社

 京都府久御山町森の健康食品などを手掛ける会社が、キクラゲの栽培を始めた。主力だった外国人観光客向けの商品が新型コロナウイルス禍で売れなくなり、新事業として栄養満点のキクラゲに着目。温湿度を管理したコンテナで育てることで、夏以外は流通の少ない生キクラゲを冬も出荷し、人気を集めている。

 「新日本製薬」はインバウンド向けのサプリメントなどを製造・販売してきたが、コロナ禍で売り上げが急減。「新しい事業を考えなければ」と模索し、ビタミンDや食物繊維を豊富に含む健康的な食べ物でありながら、国内流通品の97%は中国産というキクラゲの生産を企画した。

 昨年9月から、コンテナ2棟の内部の棚にブロック状の菌床を並べ、室温18~22度、湿度85%以上などの条件を空調や自動散水装置で保ち、無農薬で育てている。

 当初は「室温が上がってしまい、速く育ち過ぎて肉厚にならず苦労した」と取締役の植島淳史さん(40)は振り返る。現在では幅7センチ以上、厚さ3ミリ以上の大きなキクラゲが摘み取られている。

 一般的なハウス栽培では収穫は夏の2回だが、コンテナ栽培は通年で10回採れる。さらに冬も乾燥品ではなく生で出荷できることが強みといい、スーパーや直売所で販売している。植島さんは「湯通しして刺し身にし、こりこりとした食感を楽しんで」と勧める。

 規格外品も食べてもらおうと、3月からはつくだ煮も発売。将来的には、粉末にしてサプリへの活用も目指すという。

 キクラゲに多く含まれるビタミンDは免疫力の調整に役立つが、「摂取できる食品は少ない。健康のため、お年寄りや子どもにキクラゲを食べてもらいたい」と語った。

おすすめニュース

気になるキーワード

新着ニュース