90代老夫婦の愛猫がぐったり、入院1カ月で「奇跡の回復」 獣医師が感じた生命力の源

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 「奇跡の猫」豆ちゃん(6歳・女の子)をご紹介します。豆ちゃんは、もともと外で生活していた猫ちゃんでしたが、小さい時に保護されて以来、90代のおじいちゃん、おばあちゃんと一緒に暮らしています。そのお宅は2世帯住宅で、娘さん宅には豆ちゃんの兄弟猫も暮らしています。

 おばあちゃんたちは常々、「豆がいるから、私たちも健康でいられます」とおっしゃり、豆ちゃんはおばあちゃんたちの癒やしの存在でもあります。

 ところが昨年末、「今朝から食欲がないんです」と病院に連れて来られた豆ちゃん。来院時には、いつもの風邪が少し悪化したのかなという程度の症状だったのですが、みるみるうちに呼吸状態が悪くなり、おうちでは過ごせないほど苦しい状態になってしまいました。

 すぐに酸素室に入り、検査と治療が開始されました。風邪の症状だけでなく、胸水がたまっており、心臓が悪いことも分かりました。状態が安定しないので、しばらく入院して治療を継続し、やっと退院できたと思ったら、帰宅後数日でまた呼吸が苦しくなってしまい、再入院。ぐったりした豆ちゃんは、腎臓の数値も上がっており、かなり厳しい状態でした。

 おばあちゃんたちは、もうダメかもしれないと覚悟を決めていたそうなのですが、ここから豆ちゃんの奇跡の復活が始まります。検査や治療の時間もじっと我慢、苦手なお薬も1日2回、頑張って飲んでくれました。

 そのおかげで、豆ちゃんの様子は少しずつ良くなり、お部屋でくつろいで過ごす姿も見られるようになりました。今度こそ大丈夫。1カ月近い入院となりましたが、無事に退院し、その後は良い状態をキープしています。

 「豆は奇跡の猫です。先生、助けていただいて本当にありがとうございます」といつもおっしゃってくださるおばあちゃんの笑顔が、豆ちゃんの生命力の源なのだと思います。豆ちゃんとおばあちゃんたちの穏やかな日々が続きますように-。

◆小林由美子(こばやし・ゆみこ)獣医師。1990年開業の埼玉県ふじみ野市「こばやし動物病院」院長。米国で動物の東洋医学、自然療法を学ぶ。治療はもちろん予防やしつけなどにも造詣が深く、講演活動も行う。ペットと飼い主双方に寄り添う診療が信頼を得ている。

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