「間違えて通ったらレーザーで一刀両断されそうな富山市の踏切がカッコよすぎる」
そう投稿されたナゴルノ阿波尾鶏(@RichardSoviet)さんのツイート(ツイート画像の出典元:碑文谷人さん @TKK_7000)。
赤いレーザーが出ているのでは!?と思わず息を飲んでしまうこの踏切。ツイートは2万いいねがつくほど注目を集めています。富山地方鉄道の富山港線・富山駅に設置された踏切とのこと。投稿者のナゴルノ阿波尾鶏さんにお話を聞きました。
ーーこの踏切を知ったきっかけはなんだったんでしょうか。
「『かっこいい駅』で調べてたら出てきました」
ーー確かにかっこいいです!
富山駅は建物がとても未来感強く、駅に垂直に通る路面電車もとてもかっこいいのでイメージによく沿った踏切だと思います。建物の中なので高さが制限されるとなるとあの形が最適なんですかね。
ーーツイートは大きな反響がありましたが、どんな声が届きましたか?
「『安全性は大丈夫なのか』などもありましたが『〇〇みたいでかっこいい!』っていうのがほとんどでした。 『バイオハザード』『Portal』(どちらもゲーム作品)をイメージした人が特に多かったですね」
ーー近未来的なデザインですよね。
「近頃はスマートフォンの文化が発展し人々が下を向いて活動する中、この踏切はとても効果的だと思いました。これからもこのような素晴らしいデザインが増えていくことを期待しています」
ゲームの世界を感じさせるこの踏切がなぜ作られたのか、富山市の路面電車推進課・担当者に聞きました。
電車が来たことを直感的に気付いてもらえるように
ーーこれは具体的にどこの踏切ですか?
「実は踏切ではなく、『道路の横断箇所』なんです。法により、路面電車の軌道は道路上に敷設することになっており、富山駅の軌道は扱い上は道路となります。このため、軌道横断部は踏切ではなく道路の横断箇所であるため、歩行者の横断箇所を指導する『歩行者横断指導線』という区画線を設置しています」
「赤いLEDが設置されている場所は、富山駅構内の東西自由通路と路面電車の軌道が交差する場所です。令和2年3月21日の路面電車南北接続以降、東西自由通路を路面電車が横断するようになったため、同日からこのLEDライン照明を稼働させています」
ーーなるほど。見たところ上から降りてくる棒(遮断機)がありませんが、電車が通る際、危なくないのでしょうか?
「歩行者が安全に通行していただくために、軌道を横断する場所には電光表示と音声にて電車の通過をお知らせする施設を設けているんですが、この場所は鉄道の高架下で視野が狭く見通しが悪いんです」
「なので、電光表示と音声に加えてLEDのライン照明を赤色点滅させることで直感的に気付いてもらえるように、柱や床面のLEDライン照明を設置しています」
「また、路面電車が当該区間を通過する際には運転手も歩行者に注意しながら徐行しており、電車からも通過を知らせる音を出すなどしており、安全には十分配慮しております」
ーー赤いライトはそういう目的だったんですね。ツイッターでは「近未来的」「バイオハザード感がある」という声も挙がっていますが、赤いライトから何か出ていたり…?
「あくまでもLEDが発光しているだけで、それは意識しておりません」
ーー設置されてからの反響はいかがでしょうか。
「障碍者の方から『大変わかりやすい』『全国の都市交通システムの導入に当たって参考になればうれしい』との意見をいただいています。また、SNSなどでも好意的なご意見を頂いている他、ネットニュースサイトでも取り上げていただいております」
ーー大きな話題を呼んだことについて、思いを教えてください。
「本市の路面電車施設にご関心を持っていただき、誠にありがとうございます。富山駅を利用される場合には、横断箇所の電光表示と音声が鳴りましたら、電車の通過をお待ちいただき、表示と音声案内が終わりましたら安全を確認して、横断していただきたいと思います」
◇ ◇
レーザーを放ち、通ればひとたまりもなさそうなあの赤いLED。もちろんレーザーは出ておらず、むしろ歩行者の安全を守るための策だったようです。
ちなみに、富山駅には赤いLEDが光る通路を含めて計5か所、歩行者が路面電車の軌道を横断する場所(軌道横断部)があるそう。「残り4か所は駅前広場にあり、この4か所にはLEDライン照明は設置していません」とのことなので、見に行く際はご注意を。