五輪前は仲間内で伸び伸び→五輪後は親がスパルタ指導者 スケートボードが嫌いになる子も 嫉妬と怒号が渦巻くスクール

長岡 杏果 長岡 杏果

2021年夏、日本中が湧いたと言っても過言ではないオリンピックのスケートボード競技。日本人選手の活躍には目を見張るものがありましたが、アスリートの若さにも驚いたことでしょう。それにより進んだのがスケートボードを楽しむ子どもたちの低年齢化です。そこにはさまざまな親子関係の変化があるようで、実際にご自身の息子さんがスケートボードをしているAさんにお話を伺いました。

キッズスケートボードブーム到来

ひと昔前はスケートボードは中学生くらいから始めて、少し不良っぽい子たちが仲間と集まってやるもの、というイメージがありました。よって私たちの親世代にとってのスケートボードやそれをやっている子たちに対して、好印象を持っているという方は少ないのではないかと思います。

それが昨年からオリンピックの新競技に加わったスケートボードでの若い日本人選手の活躍をうけて、スケートボードはもはや小さな子どもたちの立派な習い事と変わってきています。

実際、スケートボードのスクールも増えてきていますし、低年齢化が進んだ結果、生徒の大半は未就学児から小学生低学年が多くの割合を占めています。今や水泳やピアノ・体操・英会話などといった数多とある習い事の中の一つの選択肢となりつつあります。

遊びではなく立派な習い事へ

スケートボードを始めるきっかけは子どもからやってみたいと言い始めたのか、自分の子どもにスケートボードやらせてみたいと親が思ったのか、動機はさまざまです。

しかし、いざ始めるとなると実際に親がスケートボード経験者だという割合は極めて低いのが現状です。

そこで自分たちでは教えられないのでスクールに通わせようという流れになるのですが、そうなると親は他の子どもたちと自分の子を比べ始めます。

「あの子はあの技ができるようなった」「あの子はあんなに頑張っている」「あの親子は先生と仲がいいから子どもは特別扱いされているんだ」など…そこにはたくさんの嫉妬が渦巻きます。

実際にAさんも「うちの子と同じ時間帯にしてほしくないから、スクールに来る時間ずらしてよ」「あなたの子どもはスクールを必要としていないから来ないで」など一方的に言われたことがあったとのことです。

いつの頃から親はスパルタ指導者へと変貌

初めは子どもが楽しんでいればいいな、と思っていた親も、徐々に周りの子どもたちと比べるようになり、気づかないうちにわが子への言葉が強くなっていきます。

「なんであの技がいつまで経ってもできないの!」「何回同じ失敗しているの!」「私に恥ずかしい思いさせないでよ!」

そんな言葉がスケートパークで聞こえることは珍しいことではなく、泣きながら滑っている子も決して少なくありません。その結果、楽しいはずのスケートボードがただただつらくなって嫌いになって辞めてしまう子どもたちが後を絶たないといいます。

少し前までは子ども同士、仲間内で自由に伸び伸びと遊んでいたスケートボードが、親子で頑張るスポーツへと変わっていきました。わが子の可能性や子どもが興味を持ったことに対して、その思いを生かせるかどうかは、いかに親の在り方、接し方が大きいかということを考えさせられます。

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