原材料不足や高騰にともなう価格転嫁…3社に1社「全くできていない」 特に「運輸・倉庫」「飲食店」など厳しく

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新型コロナウイルスの感染拡大による供給制約や世界的な需要増加の影響から、木材や鋼材などの不足や価格の高騰がみられています。「帝国データバンク」が、コロナ禍による「原材料などの不足や高騰の影響および価格転嫁の実態」について企業の見解を調査したところ、原材料の不足や高騰の影響が「ある」と回答した企業は77.3%にのぼりました。また、価格転嫁について「全くできていない」と回答した企業は36.3%と3社に1社以上となっているそうです。

2022年1月に全国2万4072社を対象に実施された調査で、有効回答企業数は1万1981社(回答率49.8%)でした。

自社の主な商品・サービスにおいて原材料の不足や高騰の影響について尋ねたところ、「影響がある」企業は77.3%にのぼったといいます。「影響はない」とする企業は12.2%でした。

さらに「影響がある」企業をみていくと、4割程度は多少なりとも価格転嫁ができている一方で、「価格転嫁は全くできていない」企業は36.3%ありました。また、価格転嫁できている企業でも、「価格転嫁は全てできている」は4.1%にとどまり、7割を超える企業で価格転嫁に課題を持っていることが分かりました。

一部の企業からは、「仕入れ先の一斉値上げに対して、自社の粗利益改善を含めた価格転嫁を全力で取り組んでいる」(包装用品卸売)といった価格転嫁に前向きな声も聞こえていますが、多くの企業からは「価格転嫁することは、下請けの立場からは不可能」(機械工具卸売)、「仕事量が少ないなかどこも売り上げ確保のため安価な見積りを提出するため、価格転嫁をしたら入札物件では落札できない」(内装工事)などといった厳しい声があがっているそうです。

価格転嫁の状況は、業種によって違いが出てきており、「鉄鋼・非鉄・鉱業製品卸売」(43.5%)や「再生資源卸売」(40.0%)では4割を超える企業で「8割以上価格転嫁できている」と回答しているそうです。「原材料不足が顕著となっているため、価格の上昇について合意されやすい」(鉄鋼卸売)や「メーカー側で買い値が設定されるが、原材料確保に主眼が置かれるため比較的高値で推移している」(鉄スクラップ)といった理由から、価格転嫁に対する土壌がある程度生まれていることが要因となっているようです。

他方で、「運輸・倉庫」(64.8%)や「飲食店」(64.1%)では6割超の企業で全く価格転嫁できていない結果となっているそうです。

   ◇   ◇

調査を行った同社では、「7割を超える企業で原材料などの不足や高騰に関して影響を受けていました。そのなかで一部では需要側の原材料確保の観点から価格転嫁ができており、特に仕入単価が上昇した企業のうち半数程度で販売価格の上昇が表れていました」と説明。「ただし、多くの企業で仕入単価の上昇に対して十分に価格へ転嫁できている状況と言えず、引き続き企業にとって厳しい経営環境は続きそうです」とも述べています。

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