野良猫がご縁に…猫の日から「六猫=無病」お守りを授与するお寺→考案したのは動物好きな住職

塩屋 薫 塩屋 薫

トラ、ミケ、ハチワレなど6匹の猫が施された「無病=六猫(むびょう)」お守りを、「猫の日」2月22日から授与する京都市下京区の「因幡堂 平等寺」。Twitterでの告知には2万以上のいいねがつき、話題になっています。長年、猫や犬と暮らすご住職にお守りへの思いを聞きました。

愛らしいインコや文鳥のお守りが鳥好きたちや海外の観光客にも人気の同寺。初めての猫お守りには「ウチの高齢ニャンに是非お授けいただきたいです。ありがたい」「紐にじゃれてる!可愛いなあ」「素晴らしいゴロにゃ~」「こんなに2が揃うのは200年後の2222年2月22日になってしまうので、記念すべき年に是非」などのコメントが寄せられています。

同寺の創建は1003年、御本尊は日本三如来のひとつに数えられ、病気平癒や特にがん封じの「因幡薬師」として親しまれています。6年前から境内に猫たちが出入りするようになったそうで、住職の大釜諦順さんにお守りや寺猫たちについて教えてもらいました。

野良猫だったチョビがお寺の福猫に?!

――まだ授与前ですが、猫お守りの反響はいかがですか?

これまでにないぐらい多くのお問い合わせをいただいています。本来、直接のお参りで授与するものですが、何らかのご事情で困難な場合は郵送で対応する事に致しました。期間や数量限定ではなく、今後常時ご用意していく予定です。

――こちらのお寺で初めて猫のお守りを授与することになったきっかけは?

これまでの鳥も今回の猫も根本的な思いは「誰でも持てる」ということ。きっかけは小児病棟などでお子さんでも違和感なくそばに置けるお守りや病に悩んでおられる方に「がん」などの直接的な表記がご負担にならないお守りがあればとの声をいただいたことです。新たなお守りでは、身近に猫がいるという縁もありまして…。

――今日もご住職にくっついて、取材に同席してくれている猫ちゃんがいますね!

そうなんです(笑)。このチョビともう1匹のゴマは野良だったのが、今では寺猫のような存在で。特に人懐っこいチョビはご祈祷が始まると仏様の近くや私が本来座る場所にいたり。まるで自分が仏様かのように参拝される方の目線の先にも…。

もちろん動物がお好きな方の時だけ出入りできる状態にしております。不思議と仏様へ爪とぎなど困った事はしないですよ。

――ご祈祷が好きなのかもしれませんね(笑)。

次第に「この子が前を通るとよいことがある」「縁起がいい」と言われるように。1度だけ御朱印を書いている時にチョビが墨を踏んで偶然足跡がついたのですが、参拝者の方が大変喜んでくれました。写真を撮っておけばよかったです(笑)。

――世界にひとつだけの御朱印!そんな福猫ちゃんにもちなんで、お守りが誕生したのですね。

今年が2022年とは意識していなかったのですが、せっかくなら猫の日に合わせようと。そして「見るからに猫」をイメージし、ちゃんと猫を知っている方に作ってもらいたくて、毎月8日の「因幡薬師の手づくり市」に出店されている猫好きのクラフト作家さんにデザインを依頼しました。

輝いている他の命へのつながりに

――しなやかなポーズが素敵です。六猫(無病)にちなみ、裏表で様々な種類があり、猫好きさんたちが喜びそうですね。

お守りは生地織りのため、柄はある程度デフォルメが必要で、色も限られます。でももし持つ方が「これは猫ではない」と感じてしまったら、お守りの効果自体も否定につながってしまうのではないかと思うのです。猫や鳥が好きな方はこだわりが強い気もしますしね(笑)。

――お守りならではの配慮があるのですね。

ディテールは大切ですね。鳥のお守りは獣医の娘がデザインを考えました。くちばしは鳥の種類に合わせて曲がっている、まっすぐなど変化をつけ、例えば鳥が飛ぶデザインなら「ここまで首は上がらない」など、本来の姿も意識したり。最初は「病が飛び去るように」と願いをこめ、「幸せが来る(=in幸)」でインコにしたら、文鳥派からも要望があって加えることになり、鳥好きの2大派閥があるのかなと(笑)。

――なるほど!他にも犬・猫・鳥や干支の御朱印帳が人気のようで、ご住職はもともと動物がお好きなのですか?

現在は犬2匹と保護猫だった4匹と暮らしています。そして、この寺猫2匹とその親猫クロもご飯を食べに来る状態ですね。妻が個人的に里親探しや譲渡会に携わっていて、これまで30匹以上世話をしたと思います。1年ほど前に天国へいったジャーマンシェパードのシナモン(享年13歳)は境内でも可愛がっていただき、私の知らない所でも参拝者の方とお友達になっていたかもしれませんね。

――動物たちと深い関わりがあるお寺なんですね。改めまして、今回へのお守りへの思いをお願いします。

誰もが違和感なく持っていただけたら。そして、やはり命は限られたもの…大事ですね。鳥や猫、犬など動物を好きと思う方は他の生き物にもやさしいのではないかと思うのです。人間以外にも輝いている他の命へのつながりになれたら、というささやかな期待もこめております。

◇ ◇

「無病(六猫)守り」は1体500円で、1人3体まで。2月22日の朝9時から授与され、郵送希望の場合は22日以降に、お守り代と返信用の封筒(定型・84円切手貼付)を同封した現金書留のみで対応(国内のみ)。

なお、同寺では毎月第2日曜日の11~13時に、「いぬねこ譲渡会」をおこなっています。問い合わせや詳細は主催する「京都 縁の会」の公式サイトやInstagramまで。

【因幡堂 平等寺】
場所:京都市下京区因幡堂町728
開門:6:00~17:00(お守り授与は8:30~※2/22は9:00~)
公式サイト https://inabado.jp/ 
公式Twitter https://twitter.com/byohdohji

【京都 縁の会】
公式サイト https://kyotoennokai.wixsite.com/ennokai
公式Instagram https://www.instagram.com/ennokai.kyoto/

おすすめニュース

気になるキーワード

新着ニュース