ネットカフェのレシート、「会社で経費精算できない」→ 店名をシェアオフィスに選べるサービス開始

金井 かおる 金井 かおる

 「お会計レシートが選べます」ーーインターネットカフェ最大手チェーン「快活CLUB」が一部店舗で始めたサービスが話題です。レシートに印字される店名が2つの候補から選択できるというのです。「仕事で利用したのにネットカフェのレシートだと会社に経費申請できない」という利用者の声から生まれたアイデア。担当者に話を聞きました。

店側「イメージでご迷惑を…」

 「快活CLUB」を運営する快活フロンティア(本社、神奈川県横浜市都筑区)の広報担当者によると、レシート選択制のサービスは2021年12月20日から、全国505店舗中100店舗で実験的にスタート。店名は「快活CLUB」またはグループ会社の紳士服店AOKIホールディングスが展開するシェアオフィス「AOKI WORK SPACE」から選ぶことができます。

 導入のきっかけはビジネス客からの「リモートワークで利用したのにネットカフェのレシートでは会社に経費申請できない」「会社の上司や経理担当者がネットカフェ=マンガを読む場所だと勘違いし経費が落ちない」といった声でした。「店のイメージのせいでお客様が経費を精算できないというのはさすがにご迷惑をおかけしている。すぐにできる解消法はないかと考えました」

 店名変更の件数は41日間で累計約6000件と滑り出しは上々。新規顧客の開拓にも成功したようで、「約10%が新規のお客様です。年代別ではビジネスマン世代の20~40代が85%。変更するお客様は週を追うごとに増え、複数回利用したユニーク客数は約3000人と2回目の来店にもつながりました」。全店舗への拡大時期も3月末の予定を急きょ前倒しし、2月14日からに決定。期待の大きさがうかがえます。

「将来的にはレシート店名変えなくても…」

 テレワークが推奨され、同チェーンをオフィス以外の仕事場として利用する人も増えたそう。また、資格取得の勉強に励む人にも根強い人気があるといいます。24時間営業で予約不要、ソフトドリンクが飲み放題という環境も魅力のようです。

 担当者がおすすめする部屋は「鍵付完全個室」。2018年から315店舗で導入しており、全国の総部屋数は8700部屋。「使いやすい理由は、ある程度の機密性や防音性があること。社外秘の書類を広げてもまわりから見られることがありません。完全防音ではないですが、オンラインでのミーティングをするときにも非常に便利です」。女性客の比率も増え、2018年度16.2%が2020年度には18.6%に。「神戸・三宮などの鍵付完全個室専門店では約23%が女性客です」

 中には意外な使い方もありました。それは「一人の時間を作りたい」という人の息抜きの場所です。6年前から同チェーンを利用する山形県在住の50代女性は「田舎で三世代同居が多く、一人になりたいという友達に勧めている。家だと宅配便や電話で気が散る。鍵付完全個室は伸びをしたり寝たりと自由に動ける。邪魔が入らないのがいい」とひとり時間を満喫している様子でした。

 担当者は「ネットカフェは男性の行く遊び場所というイメージが強い。それを何とか払拭していくことが今後の成長において重要だと思ってます。将来的にはレシートの店名を変えなくてもよくなるところまで持っていきたい」と今後の展望を語りました。

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