美大生が考案した読めない「日本語」に驚き! 「オシャレ」「暗号!?」「梵字にしか見えん…」

太田 真弓 太田 真弓

「並べた時に日本語に見えないひらがな作っちゃいました」と、Twitterに投稿されたとあるフォントの画像が話題を呼んでいます。

そこに描かれているのはまるでドイツ語のフラクトゥールのような、梵字のような、黒い色調でカリグラフィータッチに描かれた46個の文字。よくよく目をこらしてみると…日本語の「あ」から「ん」までの文字が五十音順に並んでいるではありませんか!! リプ欄も驚きと称賛の声が並びます。

「“き”と“く”の書き分け難しすぎるww」
「めっちゃオシャレ、装飾用フォントとしてちょっと欲しい」
「ドイツ語のフラクトゥールみたいですね」
「このフォント欲しい」
「斜めにすると読みやすかった」
「“ぬ”すき」
「な行大変だったでしょう??」
「平仮名に欠けていた文字と文字の統一感の創造が素晴らしい」
「暗号に使えそう!」
「漫画とかで異世界感や古代感出すのに使われたら面白そう」
「梵字にしか見えん…」
「50音順だからかろうじてわかるけど普通に並べたら絶対にわからん」

こちらを投稿された多摩美術大学に在学中の日吉拓哉さん(@capsuletoyz)にお話を伺ってみました。

ーー一瞬、何の文字なのか全くわかりませんでした!ツイートをさかのぼると、こちらに元ネタのような「平仮名と筆記体を融合させてみた」というツイートを発見したのですが…。

今回のフォントの起案です! なんとなく世間一般的に、平仮名より英語の方がかっこいいという概念に少し引っかかっていて払拭したかったというのはあります。実は2020年の大学入学当初から「筆記体みたいな平仮名があったらかっこいいな」ってずっと思っていた中、先日、授業で“自分でコンセプトを自由に考えた平仮名50音をつくる”という提出課題がありました。

完成したものを投稿したところ、多くの反応を頂いたという感じです。「カリグラフィーっぽい文字」というよりは、「16世紀のヨーロッパの修道士が書いていたブラックレター」を参考にいたしました。「カタカナにみえる英語」とかは見たことありましたが、全然考えてませんでした!

ーー制作期間(時間)はどのくらい?

1~2カ月で制作しました!

ーー考案が難しかった字はありますか?

「き、こ、ぬ、ね」などです。左側に棒がくる「け、は、ほ」なども苦戦しました。小文字のgの様にガイドラインの下側をくぐる形なども考えたのですが、どうも統一感が無くなってしまったり…。「こ」も斜めの線で構成していたのですが、「こ」である事が分かりすぎたり…と、試行錯誤してました。

ーー制作の裏側を知ることができて、とても興味深いです。「斜めに読むと見える!」というリプなどもありました。読むコツやからくりも意識してデザインされたのでしょうか?

斜めから見ると読めることは考えていませんでしたが、五十音で並べた時の統一感はずっと意識してましたね。

ーー今後、こちらのフォントの用途など何かお考えのことはありますか?

フォントとして使えるようにする課題だったので、フォントセットにして売るのが今の目標です!笑

ーーフォント名は何かお考えですか?

「ブラックレターフォント」にしようかなと考えていたのですが、リプライ欄に「ドイツ語でセリフの事を“フラクチャー”と言うから“ひらくちゃー”なんていうのは?」とあったのを見てそれも良いなと感じました(笑)。

ーーちなみに、一緒に写真も投稿されていたのですが、それは? 濁点や半濁点が入るとさらに読めなかったです(汗)。

文章はWikipediaの「サンドロ・ボッティチェッリ」からで、オリジナルフォントで構成された紹介ページのイメージで作成してみました。

私自身、西洋画、宗教画の様な意味のある絵画が大好きでして。絵画の中の「この後ろの木はクライアントの家紋の種類の木が入っている」とか「この色は慈愛を表す」とか、ある意味デザイン思考なところに惹かれています。

「「0から1」ではなく、「1から1.5」を作るイメージ」

ーー今回は「並べた時に日本語に見えないひらがな」ということでしたが、「日本語に見えないカタカナ」などの展開はお考えでしょうか?

ひらがなは割と、「う」が「j」になったり「い」が「「u」になったり、「へ」が「a」になったりと英語に溶け込める沢山の要素があったから成立したのかなと思っていて、カタカナになるとまた別のものを題材にすると思います。

ーー現在、12.6万のいいねがつき、リプ欄も称賛の声が続々と届いています。

ひらがなを作っている時に家族や友達に見せて反応を貰っていたのですが、「読めないね」と言われていただけだったので正直こんなにいいねしてくださる方々がいてびっくりしてます(笑)。

「漫画家さんが喜ぶフォントだ」などと言ってくださってる人が結構いて、自分も漫画大好きなのでそこで使ってもらえるフォントにしたいなと思いました。

ーー普段から、絵を描いたりデザイン考案のために取り組んでおられることや心がけていらっしゃることなどありますか?

「オリジナリティ」は存在しないと分かった上で制作する事を常に考えています。僕の描いている絵も浮世絵やアルフォンス・ミュシャを参考にして描いていますし、ひらがなのフォントもカリグラフィーを参考にしてます。

そこからどう形を変えて、思考を入れ込んで新たなる「オリジナリティ」を作れるのかという、「0から1」ではなく、「1から1.5」を作るイメージです。

ーーTwitterに投稿されておられる過去の作品も拝見しました。これからのご活躍がとても楽しみです。

遡って見てくださりありがとうございます!パンダの絵もひらがなも学校の課題なので、割と与えられた課題に対して答えるのが得意なのかなと感じ始めていて、そういった仕事に就こうと就活に励んでます。

 ◇ ◇

日吉さんは2021年、葉加瀬太郎さんのアルバム『SONGBOOK』のジャケットもデザインしており、今後も様々なフィールドでその実力を発揮されていくことが期待されます。過去の作品やこれからの活動などはTwitterをチェックしてみてくださいね。

■日吉拓哉さんTwitter  https://twitter.com/capsuletoyz

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