全国3位の面積を誇る福島県。会津、中通、浜通りと地域によって気候が異なります。今回は、福島県中通り北部、伊達市出身の私が、福島県の気候と魅力についてお伝えします。
中通りに位置する福島駅 強い冬型の気圧配置で大雪に
面積は全国3位! 広い福島県
小さい頃から桃畑に囲まれて育った筆者の私は、福島県中通り北部・伊達市の出身です。伊達市は春はピンク色の桃源郷が広がり、初夏はさくらんぼ、夏は桃、そしてリンゴなど、まさにフルーツ王国。とはいっても、伊達市は福島県の中でもその一部分です。
東北地方の一番南に位置する福島県の面積は、およそ13,780平方キロメートルで、北海道、岩手県に次いで全国3位の広さを誇り、その広大さ故、地域により気候が大きく異なります。
桜のあとは桃の花が咲き、まるで桃源郷のよう
会津・中通り・浜通り 3つの地方の気候の違い
福島県の地図を見てみると、南から北へ連なっている奥羽山脈と阿武隈高地、2つの山系があり、山を隔てて、左から会津、中通り、浜通りと3つの地方に区分されます。日本地図で見ると太平洋側に面している福島県ですが、会津地方は隣合わせの新潟県と同じように日本海側の気候、浜通りは太平洋側の気候、そして東西を山に囲まれた中通りは、その中間的な気候となっています。
では、地方ごとに気候の違いをみてみましょう。
【会津】
奥羽山脈と越後山脈に挟まれた会津地方。隣接している新潟県や山形県と同じく、日本海側の気候が特徴です。
夏は山間部では涼しいですが、四方を山に囲まれた盆地のため、平地では、蒸し暑くなります。
日本海側に雪をもたらす冬型の気圧配置になると、会津でも雪が降り、特に奥会津の桧枝岐村は日本有数の豪雪地帯で、2メートル前後の雪が積もります。
【中通り】
会津と浜通りの間の中通りは、日本海側と太平洋側の気候の中間的な気候です。
山に囲まれた盆地では、夏は蒸し暑くなり、日によっては全国で上位を競うほどの暑さになることもあります。
また、冬に日本海側に雪をもたらす冬型の気圧配置になると、中通りでは太平洋側の気候でもあるため、比較的晴れる日が多くなります。ただ、福島市や伊達市など中通り北部では、冬型の気圧配置が強まり、西北西~北西の風が強まると、山形県の米沢方面から雪雲が流れ込みやすく、局地的に大雪になることも。同じ中通りでも、福島市よりも少し南側の二本松市や郡山市ではほとんど雪が積もっておらず、南から北上した方からは、雪の多さにびっくりされることもあります。
また、関東など太平洋側に大雪をもたらす南岸低気圧によっても中通りで大雪になることがあります。
【浜通り】
福島県の西側の地域で、太平洋側の気候です。
冬は晴れる日が多く、空気が乾燥します。県内でも一番暖かく、雪もあまり降りません。海に面しているため、夏もそれほど気温が上がらず、比較的過ごしやすい気候と言えそうです。
福島県は食材の宝庫 お米・野菜・果物の生産が盛ん
福島県の地域ごとのこれらの自然条件が、食材を美味しく育てます。たっぷりの日差しと豊かな水源で米作りも盛んですし、野菜や果物など様々な特産物があります。盆地では、夏のたっぷりの日差しと暑さによって、甘さが凝縮した美味しい桃を育てます。
また昔から伝えられる郷土料理や特産物も。山に囲まれ、他の地方への行き来が難しかったこともあり、特に、寒い冬は食材が乏しくなるため、保存がきくものが重宝されてきました。晴れて気温が低く、乾燥するという特徴を生かして、冬場には、凍み豆腐、凍み大根、凍みもちなど。あんぽ柿と呼ばれる干し柿も特産です。秋になると、昔は我が家でも祖母が柿の皮むきをして、家の軒先につるして、いい頃合いになると、紐から外しておやつ代わりに食べていたものです。今でも、多くのあんぽ柿農家では、じっくりと外で寒風にさらし、自然乾燥で作っています。
フルーツ王国・福島を代表する果物といえば、桃!
冬になると食卓に登場 鮮やかな「いかにんじん」
そのほか、会津のこづゆ、ニシンの山椒漬け、ひきないりなどの郷土料理がありますが、私の地元、中通り北部で冬になると食卓に登場するのが「いかにんじん」です。お正月のおせち料理とともに、必ずと言っていいほど並ぶ料理です。
細切りにしたにんじんと、するめいかを醤油やみりん、酒などで漬けたものです。主役はにんじんなのか、いかなのか・・・議論になりそうですが、シャキシャキの歯ごたえの人参と、いかの相性はばっちり。ほかほかごはんにもピッタリで、鮮やかなにんじんが、食卓に彩りを与える一品です。
それでは、冬の時期のおかずにオススメ♪基本的な「いかにんじん」の作り方をご紹介します。
<いかにんじんレシピ>
【材料】
にんじん:300グラム
スルメ:1枚
酒:適量
【漬けだれ】
しょう油:100cc
砂糖:大さじ2分の1
みりん:小さじ2分の1
酒:小さじ2分の1
(味付けは適宜調整してください)
●作り方
1.スルメとにんじんは、それぞれ細切りに。スルメは酒をふりかけ30分~1時間くらいおいて柔らかくします。
2.鍋に漬けだれの材料を入れて、火にかけ沸騰する直前に止めて冷まします。
冷めたら、1と2を入れて混ぜ、軽い落し蓋をして半日以上漬け込んだら、出来上がりです。
食卓で、ホカホカのごはんと一緒に、また箸休めに、福島の魅力を感じながら、ぜひお召し上がりください。
<参考ページ>
●福島地方気象台(福島県の四季)
https://www.jma-net.go.jp/fukushima/kikou/kikou.html
●農林水産省「日本各地の郷土料理」
https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/kodomo_navi/cuisine/cuisine1_5.html
●福島県HP「福島県のすがた」
https://www.pref.fukushima.lg.jp/site/ken-no-sugata/
●ふくしまプライド福島の米
https://fukushima-pride.com/fukushimanokome/reason.html
●福島県HP(小学生から知ってほしい!統計の話)
https://www.pref.fukushima.lg.jp/site/kodomotoukei/deta-01.html
●ご当地情報局
https://gotouchi-i.jp/fukushima-ikaninjin/
●福島市観光ノート(伝えたい ふくしまの 味と心)
https://www.city.fukushima.fukushima.jp/nougyou-hanbai/kanko/bunka/kyodoryori/958/973.html
ついつい箸がのびてしまう・・・酒のつまみにも