見てほしいものがあるの。ビデオなの。時間がないのー。不穏な展開を思わせる母親からの緊急LINEのスクリーンショットがTwitterユーザーを震え上がらせました。こ、これはホラー映画「リング」(1998年)のラスト部分にあまりにも酷似しています。SNSの時代にも呪いのビデオは実在するのでしょうか、そして投稿者さんの安否は…。
本所あさひ(@asahi_honjo)さんが、「母親からリングみたいな連絡きてまじこわい」と、2枚のLINE画面の画像を投稿。「今夜、家にいる?」「パパが見てもらいたいものを届けるって」「ビデオを見て」と矢継ぎ早に母から連絡が入ります。「呪いのビデオ…?」と尋ねる投稿主さんに「詳しくはパパに聞いて」とつれない応対。「怖いんだけど」と本所さんはおびえますが、母は「とにかく時間がないんだって」と詳細を明かそうとしません。
「リング」は、見た者を1週間後に呪い殺す「呪いのビデオテープ」の謎を追う、鈴木光司さんの同名小説を原作とするホラー映画で、後に続くジャパニーズホラーブームの火付け役になりました。映画の最後、松嶋菜々子さん演じるヒロインのテレビ局ディレクターは最愛の息子を救うための犠牲として、自分の父親にビデオを見せることを決意し車を走らせます。
本所さんの投稿後、この場面と結び付けたユーザーが「7日以内にダビングして次の人へ」「見てはいけない」「続きが気になるんだが」などとコメントしています。まさかとは思いますが、投稿主さんの身によからぬことが起きていたら…取材しました。
―…ご無事でしょうか。ビデオは見てしまったのでしょうか
「父の仕事関係で急ぎで視聴が必要な研修動画があり、同じ職場で働いている私に見てももらいたかったそうです。ビデオテープではなく、視聴に必要なテキストとURLを渡したかったそうです」
―なぜそれがビデオに
「多忙な父は、朝いちばんに母にこの件を伝言しましたが、ネットに疎い母に伝えても分からないだろうと思い、ビデオと言い換えたそうです」
―呪いのビデオじゃなかったんですね。でも、いきなり「ビデオ見て」というLINEが来たら驚きます
「寝起きに受けとった私としては、本当に呪いのビデオなのではないかと恐ろしくなり、いっきに目が覚めました。動画は本当にただの仕事の動画なのですが、視聴から7日経つのがちょっと怖いです(笑)」
―映画「リング」はどこで
「大学の文学部ではホラー映画を取り扱う授業を受講し、視聴したのが最初です。ホラーは苦手で、授業で強制的に見ざるを得ませんでした。AVルームという特大シアターのある教室で、大勢の学生たちと大画面で井戸から出てくる貞子をみるのがシュールでした。最後に松島菜々子さん演じる主人公がビデオを渡しに車に乗っているシーンは、ぞっとしました」
小説から30年、映画から23年がたち、ストーリーに欠かせなかった「VHSテープ」「ダビング」という言葉もめっきり耳にしなくなりました。令和の世に「リング」を再現させるには…そんな空想も面白そうです。
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