先住猫の相棒を迎えたい
ちょろスケちゃん(2歳・オス)は、6匹兄弟のうちの1匹で、兄弟と一緒にダンボール箱に入れて捨てられていた。保健所に連れて行かれたが、岐阜県の保護団体「こねこカフェ サンクチュアリ」が引き出し、大切に育てられていた。
愛知県に住む黒野さんは、2018年4月に雨に打たれていた野良の子猫みぃちゃんを保護して迎えたが、1匹で留守番させるのはかわいそうだと思っていた。また、運動不足で太ってきたので、一緒に飛び跳ねて遊んでくれる相手として、オスの子猫を探していたという。
他の保護施設も覗いてみたが、サンクチュアリは猫を伸び伸びと遊ばせていて、掃除も行き届いていたので安心感があった。
生後3カ月のちょろスケちゃんは、一番元気に走り回っていて、人見知りもせず、すぐ膝に乗ってきてゴロゴロ喉を鳴らして甘えた。
「可愛い、この子がいいな、と思いました。瞬殺でした。ペットショップの猫も可愛いけれど、捨て猫や野良猫のように、値段のつかない猫たちも同じ大切な命です。悲しい結末を迎えさせないためにも、飼うなら保護猫にしようと決めていました」
先住猫、怒り心頭
2019年8月、サンクチュアリの代表をしている夫妻がちょろスケちゃんを連れてきてくれた。キャリーから出るとクンクンクンクンと少し様子を伺っていたが、すぐにオモチャで1人遊びをしたという。
「しばらく別室で隔離すればよかったんですが、そのまま先住猫のみぃと会わせてしまったので、みぃはかなり不機嫌でした」
みぃちゃんは毎日ちょろスケちゃんを追いかけ回し、シャーシャー怒って追い詰めた。黒野夫妻にも怒りをあらわにし、ヴゥ〜ッと唸った。みぃちゃんの怒りはしばらく続き、ごはんもほとんど食べず、少し食べては吐き、お湯も飲まなかった。そのうちみぃちゃんはどんどん元気がなくなり、体調が悪化していった。
「2匹の相性は合わないかもしれない。一旦白紙にするべきかと、すごく悩みました」
ようやくみぃちゃんの食欲が戻り、元気になってきたのは1カ月ほど経ってからだった。徐々にちょろスケちゃんのいる環境に慣れていったようで、ちょろスケちゃんにごはんを横取りされても怒らない、寛大な子に変身した。
ちょろスケという名前は、チョロチョロチョロチョロ動き回るすばしっこい子だったことに由来するそうだ。
多頭飼いして良かった
みぃちゃんとちょろスケちゃん、2匹になったので留守番させても前ほど心配ではなくなった。何より、一緒に遊ぶようになってみぃちゃんの体重が大幅に減り、標準に戻せたことが良かったという。
2匹を迎えてから全て猫中心の生活に様変わりして、猫柄のグッズもたくさん集めた。
「寒くないだろうか…と夜中に目が覚めて毛布をかけてあげる毎日。私ってこんなに優しかったっけ?と思います(笑)」
実は黒野さんは猫アレルギーだと診断されたが、もう彼らのいない生活は考えられないという。
「ウチの子になって良かったなと思ってもらえるように、これからも甲斐甲斐しくおせっかいを焼こうと思います。みぃにシャーシャー言われながら」