京都にも「ネズコ」がいた! 禰豆子と同じく「厳しい環境でもけなげ」に育つ

堤 冬樹 堤 冬樹

 京都市左京区の京都府立植物園に「ネズコ」がいた―。

 と言っても、人気漫画「鬼滅の刃」のキャラクターではなく、同名の針葉樹のことだ。「鬼滅」が根強い人気を誇る一方、園のネズコはあまりその存在が知られていない。鬼滅ファンの園職員は「木のネズコもけなげな感じで、頑張って育っている。珍しい木なので見に来てほしい」と呼び掛けている。

 ネズコ(別名クロベ)は、ヒノキ科で本州の山岳地帯などに自生する。府立植物園では北側の針葉樹林にある1本のみで、移植時期は不明。高さ約8メートルで、周囲のモミやスギと比べて小さく、京都の暑さや土壌の関係で大きくなりにくいという。

 一方、鬼滅に登場する竈門禰豆子(かまどねずこ)は、主人公・炭治郎の妹。鬼になってしまうが、人を襲う欲求を抑えて、炭治郎らと行動を共にする。

 鬼滅が大ブームになった昨年、園職員の間で「そういえば園にもネズコがあったな」とちょっとした話題になった。園職員で、樹木医の津田桂子さんは一家で鬼滅ファン。中学2年の長女(14)に「ネズコっていう木があるんだよ」と興奮気味に伝えたところ、「それがどうしたん」とつれない返事だった。だが、PRについては「いいんじゃない」と好意的で、背中を押されたという。

 多くの人に見てもらえるよう周囲の草を刈り、名称のプレートを付け替えた。だが、もともと地味な針葉樹ということもあり、これまであまり注目されてこなかった。津田さんは「関西の平地に移植され、育っているのはとても珍しい。どちらのネズコもかわいらしいし、厳しい環境にあるのでつい応援したくなる」と両者の姿を重ね合わせる。

 ハロウィーンの時には、鬼滅のコスプレ姿で来園した人もいたといい、津田さんは「園内には写真映えのスポットがたくさんある。ネズコをきっかけに足を運び、植物に興味を持ってもらえればうれしい」と期待している。

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