近年、ますます人気が高まる「占い」。コロナ禍をきっかけに、10代から30代の女性を中心に占いがトレンドになり、オンライン占いなど、自宅で気軽に楽しめるコンテンツも増加中。今「占い」にハマる人が増加している理由とは?鑑定を受ける際の心構えや、占いとの適切な距離感とは?大阪・ミナミの占いの館で18年間支持され続ける人気占術家・暮れの酉さんに聞きました。
――占いって、そもそもなんでしょうか?
暮れの酉:あくまで僕の中の定義ですが、占いは「答えのない人生に仮の答えを作るための道具」、そして「自分の気持ちを知るためのテスト」だと思っています。占いには大きく分けると2種類の使い方があって、一つは「自分を知るための占い」、もう一つは「未来を予測するための占い」です。
前者は「自分はこの先どうしたらいいのか?」などの漠然とした悩みがある時のヒントとして使います。
後者は、自分の目標や欲求がはっきりある時に、それを叶えるにはどうすればいいのかを考える際の手助けとして使います。例えば、好きな人と上手くいくのか?という相談をして「上手くいかない」という鑑定結果が出たとき、「それなら諦めよう」と思うのか「それでも諦めたくない」と思うのか、自分の気持ちの大きさを測る指針にすればいいんです。
――暮れの酉さんの鑑定を受けるお客さんには、どんな方が多いですか?
暮れの酉:僕が仕事をしていたミナミという土地柄もあるのかもしれませんが、20代から30代の若い女性が多いです。ここ数年は、学生さんや男性も増えています。10年くらい前までは、「恋人と喧嘩をした、どうしたらいい?」などの具体的な質問を持って来られる方が多かったのですが、最近では「自分にはどんな仕事が向いていますか?」など、自分を知るため・分析するために来られる方が増えている気がします。
――最近、占いがブームになっているといわれていますが、その理由はどんなことにあると考えていますか?
暮れの酉:実は、昭和の初期に出版された占いの教本にも、「昨今は占いがとても流行していて〜」というようなことが書かれているくらいで、占いはこれまでにも何度もブームになっているんです。
ただ、近年また占いが盛り上がっている理由は、「多様性の時代」が来ているからということがあるのかな?と考えています。昔なら、いい学校を出て、いい会社にお勤めして、結婚して……というように、人の生き方に一つの理想のモデルがあったような気がします。でも、最近ではもうそんな価値観は通用しないですよね。「多様性」が認められる社会になって、生きやすくなった人も増えてはいますが、人生にお手本的なものがなくなって「生き方の正解」が人それぞれになったことで、「自分はどうすれば良いのだろう?」という悩みを抱える人も出てきたのかなと思います。
そんな中で、生き方のヒントやアドバイスが欲しいという欲求が生まれ、そういった答えのない悩みを占いに託してみようという人が増えているのかなと考えています。
――占いの鑑定を受ける際の心構えがあれば、教えてください。
暮れの酉:自分を見つめ直すツールとして使う、くらいに考えるのが良いのではないでしょうか?占いは、でたらめに思えることもあるかもしれませんが、突き詰めると先人の培ってきた生活の知恵が元になっています。これまでの歴史の中で、人間が共通の壁や悩みにぶつかった時にどうすればいいのか?という考え方や捉え方の集積の結果なんです。なので、僕たち占い師も知っておかないといけない知識は沢山あるし、勉強するべきこともつきません。ただし、占いは科学ではありません。占い師側にも「バランス感覚」はとても大切だと思っています。占いはあくまで「そういう考え方もあるんだ」という人生のヒント。「占いに乗っ取られないで」ということは伝えたいです。人生の主役はあなた自身です。
(まいどなニュース/ラジオ関西特約・村川 千晶)