30年前の缶詰を開けたら中身が真っ黒!「無臭で甘みはない」?衝撃的な報告に専門家の見解は

黒川 裕生 黒川 裕生

「30年モノのフルーツポンチ缶を開けたら真っ黒でした。

 ほぼ無臭ですが甘味は全く無し。

 あとで土に還してやるか…(ヽ´ω`)」

11月初旬、そんなコメントを添えた衝撃的な写真がTwitterに投稿され、爆発的に拡散されました。1991年製造というその缶詰、中身の桃やみかんと思しき果物が全て真っ黒に変色していたのです。反響を受けて投稿主のクリハラさん(@chestnut100kg)はさらに、1990年製造のみかん缶も開封。こちらもやはり真っ黒でした。…ていうか「甘味は全く無し」ってクリハラさん、まさかこれ食べたんですか!?

クリハラさんによると、これらの缶詰は「友人から譲り受けたもの」。どうして食べようと思ったのか?と聞いてみたところ、「中身が無事なら夕食後のデザートに食べよう、という程度の気軽さで開けました。味見したのは異臭もせず見た目が完全に炭と見えたからです」とのお答えでした。なるほど、わからない。

ちなみに開封後、何日か自然乾燥させたものを嗅いでみると「カラメルに似た芳香臭」がうっすら感じられたそうです。今回得られた教訓について、クリハラさんは「味見したことに対して行動力や度胸をお褒め頂く反応があったのが意外でした。とはいえ、細菌や缶内側のコーティング溶出による食中毒の危険性があったかもしれず、少し迂闊だったと反省しています」と話してくれました。

なぜ中身が黒くなった?専門家の見解は

それにしても、「黒くなって味がなくなる」というメカニズムがよくわかりません。兵庫県川西市にある東洋食品工業短期大学の包装食品工学科教授で、食品加工に詳しい高橋英史さんに聞いてみました。

―製造後30年経過した缶詰の中身が真っ黒になった原因として、どのようなことが考えられるのでしょうか。

高橋教授「保管環境に配慮して熟成させるワインのような特殊な製品を除き、一般的に食品は、保管中どうしても変化していきます。缶詰は常温で長期間保管できるよう製造されていますが、やはり中身の色、味、香りは保管期間が長くなると変化します。このため、中身の種類によって異なりますが、おいしく食べてもらうために各社が賞味期限を決めており、缶詰の場合は製造後3年というものが多いようです」

「賞味期限を越えると化学反応がさらに進み、シロップ漬の場合だとシロップが褐色変化していきます。金属缶は内容物を保つように作られていますが、さすがに30年も置きますと、どうしても内面から鉄が溶出してきます。中身が黒いのは、シロップの色が褐色を経て黒い方向へ変化したこと、そして缶の内面由来の鉄の色が混ざった状態だと考えられます」

「仮に30年も日保ちさせる缶を作ろうとすると、精巧で分厚く頑丈な構造にしなければならず、現実的ではありません。かなり重くなりますしね」

―投稿者であるクリハラさんは「無臭で甘みはない」と言っています。これはどういうことなのでしょうか?

高橋教授「先ほど述べましたように、あまりにも長期間保管したために化学変化が起こり、香りは失われ、味も甘くない状態になっているからです」

―食べても危険はないのでしょうか?

高橋教授「危険ではありませんが、鉄が溶出しているので、量によってはお腹が緩くなるということはあるかもしれません」

「同様の黒い中身を私も舐めたことはありますが、決して美味しいものではありません。あえて食べる必要はないと思います。イカ墨が黒いのとはワケが違いますから、食べることはお勧めしませんね」

あえて食べる必要はない!本当にその通りです。

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