使用済み紙おむつは持って帰ってー。定額おむつお届けサービスを展開するBABY JOB(大阪市)が、首都圏4都県と関西圏4府県の計361自治体の公立保育園担当者に行った調査で、半数近い168自治体(47%)で、使用済み紙おむつを保育園で廃棄せずに保護者に持ち帰らせていることが分かりました。
保育園が保護者に使用済み紙おむつを持ち帰らせている自治体が多かったのは、1位が京都府(88%)、2位が大阪府(65%)、3位が奈良県(64%)、4位兵庫県(46%)の順で、関西圏が上位を占めました。関西圏全体では149自治体のうち95自治体(64%)が持ち帰りを求めていました。
使用済みの紙おむつを保護者に持ち帰らせている理由は、「便からの体調確認」「これまでの慣習」などがありますが、負担に感じる保護者は多く、保育園での使用済み紙おむつの廃棄が進むことが望まれます。
東京23区は使用済み紙おむつの持ち帰りゼロ
東京都で保護者に使用済み紙おむつの持ち帰りをさせている自治体は、62自治体中15自治体(24%)にとどまりました。23区はゼロでした。首都圏全体では209自治体中73自治体(35%)で、もっとも多かったのが神奈川県で45%、埼玉県(40%)、千葉県(33%)となり、全体として持ち帰りをさせている自治体は少ない結果になりました。
おむつを持ち帰らせる理由「便での体調確認」と「これまでの慣習」
使用済み紙おむつを保護者に持ち帰らせている理由としては、「便による体調確認」「これまでの慣習」を挙げた自治体が多く、そのほか「おむつを園で処分する予算がない」といった回答もありました。
【調査概要】
調査名:使用済み紙おむつの持ち帰り状況に関する調査
調査対象:首都圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)、関西圏(大阪府、京都府、兵庫県、奈良県)1都2府5県の計361自治体の保育担当者
調査期間:2021年4月1日~7月30日
調査方法:電話による聞き取り調査
家に持ち帰る必要ない
【使用済み紙おむつの持ち帰りに関する有識者のコメント】
・感染症対策コンサルタント/看護師 堀成美氏
日本初の「感染症対策専門職」として感染症の専門医療機関で働き、現在は東京都看護協会危機管理室アドバイザーや、東京都港区の感染症専門アドバイザーなどを兼務。
「感染が広がりそうなものは、触るタイミングや触る人を減らすことが大切です。使用済み紙おむつを交換したあとは、その場で捨ててすぐに手指をきれいにし、家に持ち帰る必要はありません。保育の場を安全で清潔にすべきだと考えます」
持ち帰りなくせば保護者喜ぶ
・奈良県三宅町長 森田浩司氏
三宅町は様々な民間企業との連携を積極的に進め、子育て支援を積極的に行っている。三宅町の公立保育所では、2020年7月から保護者の紙おむつの持ち込み・持ち帰りを無くし、全て園での処分に変更した。
「保護者達から使用済み紙おむつの持ち帰りが本当に嫌だ、という声を頂いていたこともあり、新型コロナウイルス感染症対策と子育て支援の一環として、2020年7月におむつの持ち帰りをなくしました。本件アンケートを実施したところ、保護者の100%がおむつの持ち帰りがなくなったことに対して喜ばれていました。」
フランスでは園で捨てるの当たり前
・ライター 髙崎 順子氏
フランスの子育て支援策を紹介する『フランスはどう少子化を克服したか』を出版。日本の使用済み紙おむつ持ち帰りに驚き、2017年に使用済紙おむつの持ち帰りについてTwitterで問題提起を行い、論争を巻き起こした、持ち帰り問題の第一人者。
「フランスでは、保育園の使用済みオムツは衛生管理面から“園でまとめて捨てるのが当たり前”。保育園のオムツ廃棄は、その園が株式会社など民間運営のものであっても、全面的に国・自治体の管轄です。日本の現状は、児童福祉施設のゴミ処理問題を保育士や保護者に負わせ、子育てのハードルを上げる一因になっていると感じます。」
調査を担ったBABY JOBは、すべての人が子育てを楽しいと思える社会を目指し、「保育園からおむつの持ち帰りをなくす会」を立ち上げて活動しています。
【BABY JOB株式会社について】
保育園向けの紙おむつの定額制サービス「手ぶら登園」などを中心に、子育てに関する社会課題の解決に取り組む会社です。
【会社概要】
名称:BABY JOB(ベビージョブ)株式会社
事業内容:保育所サポート事業、子育て支援事業
所在地:大阪府大阪市淀川区西中島6丁目7番8号
設立:2018年10月1日
資本金:6億6200万円 (資本準備金含む)
HP:https://baby-job.co.jp/
手ぶら登園サービス公式Webサイト:https://tebura-touen.com/