「弱い立場の人」「デジ女」政治家の“残念な言葉選び”に「もっと国民の方を見て」

ハイヒール・リンゴのつぶやき

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 岸田文雄新首相が先日、若者や女性、非正規労働者の方ら「弱い立場の人」への現金給付を検討すると明らかにしました。良いことではあると思うのですが、若者や女性、非正規の人たちを一括りにして「弱い立場」と表現された、その言葉選びに、とても残念でモヤモヤした気持ちを感じたのは私だけでしょうか。

「女性」というワードは、今ではジェンダー的な側面が強く意識される時代です。先日も前デジタル担当相が「デジ女を作る」と発言されたことがネット上で炎上。少し前なら良い意味で「リケ女」や「歴女」などの言葉が使われていましたから、ご本人はそんなに差別的な意味合いではなかったと思いますが、やはり政治家ですから国民に向けて発する言葉に敏感であってほしいのも事実。岸田さんを始め、総裁選で「3A」の方をうかがいすぎて、国民の気持ちが見えていないんじゃないか、もっと国民を見てよ、と思ってしまいます。

 学生も、裕福な人がいる一方で、奨学金を受けながら生活しているのに、コロナ禍でバイト先が休業した上、学校はずっとリモート授業なのに今まで通りの学費、何なら設備整備費を上乗せされた、など苦しむ人もいると聞きます。そういう意味では給付金はとても助かる施策でしょう。でも「弱い立場」というワードでくくってしまうのはどうなのかな。ひとり親も又しかり。困っているひとり親の家庭が多いのは事実ですが、ひとり親=困窮世帯というのは違うはず。当事者でも「困窮世帯」や「弱者」とされることに抵抗がある人も大勢います。

 先日、厚生労働省のワーキングチームのお仕事で大阪・難波にあるマザーズハローワークにお邪魔しましたが、一昔前との違いにびっくり。施設はコンパクトで技能的。困りごとには弁護士や社会保険労務士、臨床心理士が無料で相談に応じ、パソコン講習や疑似面接、履歴書の書き方から面接時のメークの仕方まで教えてくれる。さらにスタッフも専任制で何度も事情を説明する必要もないし、もし採用に落ちても、なぜ落ちたかを一緒に考えてくれ、託児所や年休など条件に合った会社を探してくれる。

 たまたま、職を探しているという女性のお話を聞く事が出来たのですが、「フィリピン国籍なんですが」と不安げにおっしゃると、職員は「もちろん大丈夫です」と即答。聞くと、数カ国語にも対応していて、外国人の技能実習生らも利用できるそうです。不法就労の人は別として、外国人の方も今や日本社会に不可欠な労働力ですもの。

 ただ、悲しいかな、厚労省のHPを見てもなかなかこのマザーズハローワークまでたどり着けないし、チラシもハローワークに来なければ見られない。駅前など立地は抜群なのに。件の女性も「偶然、見かけて来た」と言っていましたが、逆に言えば、見かけなかったらたどり付けなかった。ひとり親や若い人を対象とするなら、インスタグラムやYouTubeなどそうした人たちがよく利用する媒体に広告を出すことも必要なのではないでしょうか。

 生活が苦しい人への支援は大切です。でも、その原資は私たちが納めた税金。きちんと必要な人に知ってもらって、使ってもらわないと意味がありません。コロナ禍でアベノマスクと10万円の給付金しかもらっていない人も多いと思います。ただでさえ、「なぜ飲食店ばかり」と憤懣を感じる人も少なくありません。国民の間に無用の「断絶」を生まないためにも、ちゃんと国民の方を見て、国民の声を聞いて、納税者が納得できる支援策を考えて欲しい、と思うのです。

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