ツールド仏…仏さまがロードバイクに乗るポスターが「リアル」と話題 発注した住職も描いた画家もサイクリスト

伊藤 大介 伊藤 大介

ツールド仏(フランス)ならぬ、ツールド仏(ブッダ)。淡路島にある13の寺を自転車で巡ることを呼びかけたポスターがSNSで話題になっています。「淡路島十三仏霊場 自転車で巡る十三の法輪」と書かれたポスターで目を引くのが、ロードバイクにまたがる仏さま。なにげなく乗っているようですが、スポーツ自転車に乗る前傾姿勢、チェーンを巻き込まないよう裾を縛るなど、サイクリストとしてあるべき姿を体現しています。数年前に作られたポスターが脚光を浴び、当時ポスター制作に携わった淡路島十三仏霊場の一つ、智積寺(ちしゃくじ、兵庫県南あわじ市湊里)の寺内宥孝住職(46)と京都在住の日本画家、諫山宝樹(たまじゅ)さん(41)に話を聞きました。

サイクリストにお寺を巡ってほしい

ーーロードバイクで疾走する仏さま、斬新なポスターです。

寺内住職「自転車で淡路島を1周するサイクリストは多く、そのような方たちに淡路島十三仏霊場を巡ってもらい、お寺も知ってもらえたら、と企画しました。4、5年前、淡路島十三仏霊場ができて40周年だったので、節目で作ったポスターです」

ーースポーツ自転車の乗り方が分かっていないと、なかなか描けない絵です。

寺内住職「京都の日本画家、諫山宝樹さんに『このポスターしかない、というものを作ってほしい』とお願いしました。たまたま諫山さんも自転車に乗っていて、私も何度かロードバイクにはイベントなどで乗ったことがありました」

諫山さん「私も自転車が好きでよく乗っております。ロードバイクも一時期乗っておりました。あまり長距離の経験は無いのですが、絵や作業の合間の気分転換としては欠かせないです」

足元の裾にこだわり 仏さまに敬意込め

ーーポスターの図案でこだわった点はありますか。

諫山さん「足元の裾の事は特に留意して描かせていただきました。(もう少しスッキリさせておかないと本当は危ないのですが)。《お寺》や《仏像》など、渋めのイメージではなく、サイクリストさんの目に留まるようなビビッドさを心掛けました。しかし仏さまを、自転車を描かせていただく以上、それぞれに敬意を持って取り組ませていただきました」

サイクリスト専用の御朱印帳も

ーーロードバイクでお寺を巡る人もいるんですか?

寺内住職「ポスターを見て来てくれた人も結構いますよ。淡路島十三仏霊場ではサイクリスト専用の御朱印帳もご用意してます。サイクルウエアの後ろポケットに入るよう小さいサイズで、汗対応でカバーをつけています」

ーーツイッターで話題になったポスターの投稿は一時、1万以上のいいねがつきました。

寺内住職「本当にありがたいことです。淡路島だけでなく、四国のほうのお寺も含めて数百枚は貼り出しましたので、それを見てくださったのかもしれませんね。またお寺を訪れる人が増えてくれたらうれしいです」

   ◇   ◇

住職と画家のこだわりが詰まったポスター。見かけた人には仏さまのご加護があるかも。

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