コロナ禍でオンライン就活が広まったことによって、「入社日に初めて本社を訪れた」「ずっと画面越しだった人事担当と、入社して初めて会った」という社員の声が話題だ。そのため、思っていたのと違うなどの理由で早々に退職する新入社員も少なくないという。そんなミスマッチをなくそうと、社内の様子をライブ配信する求人採用アプリを開発した青年がいる。BUIVER(ビーバー)代表の和木一広さん(27)だ。
企業のすっぴんを映し出す、ライブ配信
スマートフォンで知りたい会社のライブ映像が見られるライブ配信型求人サービス「BUIVER」。企業は通常のデスクワークや打ち合わせの様子、研修や経営会議の風景などを、社員の手で気軽にライブ配信できる。
自社の素の部分を赤裸々に見せることで、学生や求職者にその会社の雰囲気や人の魅力が伝わるという。
「求職者にとって決め手になる情報は、パンフレットや求人用に撮影された動画にはないんです。BUIVERを見て、社内の雰囲気に魅力を感じて転職を決めた人もいますよ」と和木さん。2021年3月15日にリリース以降、これまでに230社の企業が導入している。
若い世代にとって、BUIVERは「インスタライブや17ライブ、SHOWROOMのようなストリーミング配信の感覚」に近いという。求人に特化した動画配信サービスのため、企業は就職サービス会社を介することなく、社員が誰でも手軽にスマートフォンで配信できる。求職者は希望する会社の様子を確認できる。アーカイブ機能も備わっているため、いつでもどこでも視聴が可能だ。
地方企業の“ライブ”が求められている
現在、導入している企業は首都圏が中心だが、北海道の建設会社や岡山のマーケティング会社など、地方企業が取り入れる動きも広がっている。
和木さんは、むしろ地方企業にこそ浸透してほしいという。首都圏から地方への移住希望者が増えているからだ。
「移住のハードルのひとつが『仕事』。地方にどんな企業があり、どんな仕事をできるのかが見えにくい原因は、そもそも情報量が少ないことです。そうした企業のライブ配信は、地方移住の助けになります」
逆に地方から首都圏へ出るときも、BUIVERでさまざまな企業の“中”を見て、納得のいく転職をしてほしいという。
今後はライブ配信中に求職者からのコメントを受け付ける機能もリリースする予定。現在はiPhoneのみの対応だが、他機種へも広げるなどハード面の充実のほか、特定の地方の企業を中心に配信する特集を組んだり、エンタメ要素の入った構成や企画を盛り込んだりすることも計画しているといい、利便性と楽しさを目指す和木さんの頭の中はアイデアでいっぱいだ。
ただひたすら喜んで欲しいから
20歳の頃に聞いた、アルバイト仲間の「家で職場見学ができたら」というつぶやきをヒントに開発したアプリ「BUIVER」。実は和木さん自身も、一度就職に失敗している。
「マーケターとしてWEB制作会社に入ったのに、課されたのは1日500件のテレフォンアポイントや営業回り。話が違う」と、先に転職した上司の後を追って、現在の会社に転職した。アプリの開発経験はなかった和木さんだが、社長に理想の求人アプリをプレゼン。「若者には絶対アプリ」というこだわりを貫き、社内ベンチャー企業「BUIVER」を立ち上げた。
「サプライズが大好きなんです。『こんなことやってるオレってオモロイやろ?』って気持ちもあって。相手に本気で面白がってもらえたら大満足です」
大切な友人らに喜んでもらいたい気持ちを原動力に開発した、アプリBUIVERのこれからの成長に注目だ。
【BUIVER】https://buiver.biz/