日本と欧州の都市の「半径15km圏人口」を示した地図がSNS上で注目を集めている。
東京都は市域人口927万人、半径15km圏人口988万人と大きな差はない(2015年調べ)。しかし大阪市は市域人口269万人だが、半径15km圏人口はなんと631万人(2015年調べ)とダブルスコア以上。
パリ市も大阪市同様、市域人口は216万人だが半径15km圏人口は724万人に達する(2019年調べ)。
「国によって市域の範囲が異なるので、『パリ市の人口は名古屋より少ない』『ジュネーヴは20万人都市』…と教科書通りに理解していると、思わぬギャップに驚くことも。」
と、この地図を制作したにゃんこそばさん(@ShinagawaJP)は語る。
都市の規模や拠点性はなにも人口だけに比例するわけではないが、さまざまな経緯や事情により設けられた市域ではなく、都市圏としての人口を把握することは、各都市の実態をより正確につかむ大きな参考になりそうだ。
SNSユーザー達からは
「東京は中心が新宿に移ったのがかなり効いてそうですね」
「大阪市の狭さが可視化されてる…15キロ圏人口で考えると東京や他国の首都と張り合っている」
「最果ての60万都市鹿児島が、半分の規模しかない那覇より田舎に感じるのは正にこれで、都市圏人口ではほぼ横並び。肝心なのは人口密度と都市圏人口であるように思います。欧州の小都市で充実した軌道系交通網が高頻度運転されているのも、この背景を見落とすと理解できなくなりますね。」
「ロンドン圏が意外にデカい!イギリスの人口は日本の半分くらいなので、あちらの一極集中は日本以上と言えそう。」
「ベルリンの人口密度ピークが低く、均一に広がっている理由が気になる。」
など数々のコメントが寄せられている。
にゃんこそばさんにお話をうかがってみた。
中将タカノリ(以下「中将」):たいへん興味深い地図でした。このテーマで地図を作ろうと思われたきっかけをお聞かせください。
にゃんこそば:ネットや書籍で「世界の人口ランキング」などを目にすることがありますが、国や地域によって「市」の定義や範囲が異なるため、人口が実際の都市規模を表しているとは限りません。「条件を揃えて比べたらどうなるかな?」と思い、半径15kmという線引きで人口を集計してみました。
中将:制作された上で印象的だったこと、新たに気付かれたことをお聞かせください。個人的には大阪の15km圏内人口が思いの外多かったことに驚かされました。
にゃんこそば:まさに大阪の15km圏人口の多さは印象的でした。
また、人口195万人(2015年)の札幌市と、人口154万人で周囲にベッドタウンを抱える福岡市で15km圏人口がほとんど同じ、というのも発見でした。
一方、海外との比較からもいろんなことが見えてきます。フランスの歴史ある都市、例えばナントやボルドーは人口25万~30万人ほどですが、15km圏人口は65万~85万人と、姫路や岡山に迫ります。
関西発信のまいどなニュースの読者さんであれば、その大きさが想像できるでしょうか。
中将:これまでのSNSの反響へのご感想をお聞かせください。
にゃんこそば:いろいろなコメントを頂きましたが、東京の大きさを改めて実感する方が多かったですね。
また、欧州の「市」の範囲が非常に狭い理由として「都市の内外が城郭で区切られていたため」といった解説をしてくださる方もおられ、非常に勉強になりました。
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にゃんこそばさんは「○○市の15km圏内人口」が見たいという数々のリクエストに応え、今回作成したマップを自身が運営する地図サイト「5656map」上に公開している。
読者のみなさんがお住まいの都市の15km圏内人口はどのようになっているだろうか。ご興味のある方はぜひチェックしていただきたい。
にゃんこそばさんTwitterアカウント:https://twitter.com/ShinagawaJP
「5656map」:https://www.5656map.jp/pop_15k.html#9/35.6895/139.6917