アニメ「宇宙戦艦ヤマト」や漫画「銀河鉄道999」「宇宙海賊キャプテンハーロック」などで知られる漫画家松本零士さんの四畳半青春コメディものの金字塔「男おいどん」で、極貧の主人公が洗濯もせず大量に溜め込んでいる下着から生えてくる不気味なキノコ「サルマタケ」。読者を戦慄させ、爆笑させたあのキノコは、単なるフィクションではなかった。一般社団法人日本防水協会が、雨漏りや湿気で自生したとみられるキノコをテーマにした謎のフォトコンテストを企画し、物好きたちの耳目を集めているのだ。
同協会は、漏水や防水の問題解決に取り組む団体として、2017年に設立。団体の知名度向上と、建物の湿気被害に対する啓蒙を図るため、初めてコンテストを開催することにしたという。
それにしても、家の中でキノコが生えてくることなんて本当にあるのだろうか? 同協会の担当者に聞いてみると、「どこかから菌が飛んで来て、湿気で繁殖してしまうケースは実際にあるんですよ」とのこと。SNSなどでは、コンテストの存在を知った人たちから「うちでも生えたことある」との声が上がっている。
…と、まるで他人事のように書いてしまったが、そういえば私自身、布団の下に敷いていたスノコから謎の白いキノコが生えたことがある(雨漏りではなく寝汗による湿気が原因と思われる)。キノコを目撃したときの精神的ダメージは、思い出したくもないほど強烈なものだった。このように、経験者にとっては正直たまったものではないのだが、それを「雨漏りでこんなキノコが育った!」と、あえて笑い飛ばそうというのがこの企画である。ああ、あのキノコ、撮っておけばよかったナ。
コンテストの告知を見ると、畳と毒々しいピンクのキノコをコラージュした写真に「あ!キノコがお部屋に!」と深刻さの欠片もないキャプションが躍る。8月20日から募集を開始したところ、続々と“雨漏りキノコ”の写真が到着。水回りや壁紙の隙間からひょっこり顔を出す、たくましいキノコの姿が記録されている。
「しっかり防水対策して、被害を食い止めましょう」(同協会)
1人何点でも応募でき、写真のサイズや撮影機材、撮影時期は問わない。最優秀賞(1点)には賞金3万円、優秀賞(3点)には5千円分のクオカードが贈られる。メールの件名に「フォトコンテスト応募」と書いて同協会(jwa@bousui-association.jp)までデータを添付。募集期間は9月末まで。