「『密です』と言われてみたい頭頂部」(62歳)
「薄味にしたらコロナとわめく祖父」(56歳)
「食卓に俺の席だけアクリル板」(66歳)
全国有料老人ホーム協会が毎年「敬老の日」に合わせて公募している「シルバー川柳」の2021年の入選作20句が決定した。今回もコロナ禍の世相を反映しつつ、それをとぼけた笑いで吹き飛ばす切なくも笑える作品が目白押しだ。
21回目の今年は過去最多となる16621句が寄せられた。実は応募資格には制限が一切設けられておらず、今回も下は16歳から上は106歳という幅広い年齢層からの応募があったという。
題材別データを見ると、新型コロナウイルス関連は「日常生活」「肉体、知力の衰え、老化」「身内、家族全般」に次ぐ4位。自粛やマスク、三密、オンライン、ワクチンなどのキーワードを上手く取り入れた作品が目を引く。
そのほかの入選作は次の通り。
「全集中しても開かない瓶の蓋」(66歳)
「リード持ち散歩に出たが犬忘れ」(69歳)
「目の検査「丸」と答えるお爺ちゃん」(44歳)
「じいちゃんが暗証番号暗唱し」(74歳)
「名を呼ばれ誰も立たなきゃたぶんオレ」(58歳)
「YouTube履歴は演歌と百恵ちゃん」(19歳)
「さり気なく背後に賞状オンライン」(54歳)
「午後八時酒提供を止める妻」(58歳)
「お互いに返事はするが動かない」(60歳)
「お見舞いにぞろぞろきたらそろそろか」(52歳)
「どなたですそういうあなたはどなたです」(59歳)
「伸びすれば足が攣る攣る寝起き前」(66歳)
「ワクチンのネット予約でひ孫借り」(81歳)
「BTSテレビ局だと思ってた」(40歳)
「ペイペイで払うと後ろ行列に」(65歳)
「へそくりは一度仕舞うと出てこない」(58歳)
「おはようのラインがくるのは朝の五時」(17歳)
今回の入選20作と前回の第20回応募作から選ばれた傑作68句を収録した「シルバー川柳11」が9月7日、ポプラ社から発売される。税別1000円。