「風鈴トンネルで待ってるニャ」…涼しげな風鈴の音色と、人なつこい猫たちが参拝客を癒してくれる寺

うちの福招きねこ〜西日本編〜

西松 宏 西松 宏

 ここは元々、近くにあった炭鉱の事故や病気などで亡くなった方々のための炭鉱寺院だったんです。だから、昔は檀家さん以外の方が来られることはほとんどありませんでした。

  境内に風鈴を吊るすようになったのは7年前からです。当初は100個くらいで楽しんでいたんですが、次第に「短冊に願いを書きたい」という方が増え、「願掛け風鈴」として参拝者が願いを書いて吊るせるようにしたところ、年々、その数が増えていきました。3年ほど前、地元テレビなどで境内の風鈴トンネルをご紹介いただいたのがきっかけで知名度があがり、風鈴は今夏、7700個を超えました。

 くうとキャラが一緒にいた頃は、まだ参拝者も少なく、看板猫と呼べるほどでもなかったのですが、昨年5月、寺にやってきたじんは人なつこくて、気に入った方の膝の上に乗ったり、風鈴の下で愛嬌をふりまいたりするので、すぐに参拝者の人気者に。昨夏、お寺の正式な「看板猫見習い」に任命し、今夏は「癒し係」に昇格しました(笑)。

 参拝された方が、「招き猫ちゃんがいた」「また会いたい」と、風鈴のことだけではなく、じんのことをインスタグラムなどSNSで紹介してくれるので、じんのおかげで今夏はたくさんの方に来ていただいています。コロナ禍のなか、「落ち込んでいて元気がなかったけど、涼しげな風鈴の音色と猫にダブルで癒され、前向きな気持ちになれた」といった方も結構おられます。

 キャラを失ったペットロスを乗り越えられるようにと、じんが私たちの元へやってきてくれたのではと思うこともあります。悲しいことも嬉しいことも、奥深いところではすべて繋がっているのかもしれません。

 ここは田舎の小さなお寺。私たちに時間があるときは、悩みごとなどがあれば話をお聞きするなど、参拝に来ていただいた方にできるだけ寄り添い、ご縁を大切にしたいと思っています。もちろん猫たちも一緒に(笑)。

 じんは相手の懐に甘えて入っていくタイプ。まずは自分が心を開いて相手に飛び込んでいく方が、人から好かれるし、人間関係もうまくいくことが多いですよね。一方、くうは我が道を行くツンデレですけど、不思議なことに、私が落ち込んでいるときはつかず離れずそばにいてくれます。100の言葉をかけてもらうより、ただ黙ってそばにいてくれるだけの方が楽なときってありますもんね。2匹のタイプは違いますが、日々、猫たちから知恵をもらっています。いまは寺を一緒に営んでいく同志のような存在です。

【寺院名】真言宗御室派平等寺(通称・三井寺)
【住所】福岡県田川市伊田2706-1 
【電話】0947-42-7206
【インスタグラム】@mitsuidera_byodoji

*ナビで案内する本堂側の駐車場は、現在駐車禁止。車の場合、ナビを「田川市民球場」にセット。球場側に臨時駐車場あり。風鈴は5月半ば〜9月30日まで(拝観時間は9時〜17時)。9月14日〜20日(19時〜21時)には風鈴の夜間ライトアップを予定(緊急事態宣言が延長になる場合は中止)。また、11月半ばから12月半ばの紅葉の時期は約6千個の「風車トンネル」になる。

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