栃木・那須町にある真言宗智山派「長楽寺」は400年以上の歴史をもつお寺だ。そんな由緒あるお寺のTwitterアカウント「那須の長楽寺」(@nasu_chourakuji)による投稿がネット上を“席巻”している。住職の食事シーン動画が注目を集め、フォロワー数は15万人を突破した。もちろんただの食事シーンではない。猫4匹が住職の体や椅子に所狭しと乗って、一緒に食事している。この人気の「猫全部乗せごはん」動画がキラーコンテンツとなっている。
体に猫が乗っても表情ひとつ変えず、黙々と食事をする住職。時折、食卓に並べている猫のおやつをひとつまみ手で取ると、猫の口に運んでいる。そのシュールな構図が猫好きを中心に「何回見てもいいですね」「幸せのお裾分け全のせありがとうございます」「住職さんの技が冴えますね」とウケているのだ。長楽寺に電話取材を申し込むと、おっとりとした声の主である住職が「あ~ネコね。ツイッターはカミさんの担当なんで、代わりますね。わたしゃ、いいさらし者ですよ。ハハッ」と笑って妻・繭子(まゆこ)さんに代わった。
――住職が食事中に猫が乗るようになったきっかけは?
「それが、これっといったきっかけはないのです。気が付いたら、こうなっていたというか…(猫は)好奇心旺盛で、何を食べてるのかな、と見に来るようになって。人間の食べ物は食べさせられませんから、いつしか食卓に猫のおやつも並ぶようになりました。毎食来ます」
――住職は食べにくくありませんか?
「うどんを食べるときは食べにくいな、と言ったこともありますが、最近は『もう慣れた』と言っています」
――飼い猫4匹の「全部乗せ」は住職の食事のときだけですか?
「全部乗せは住職だけです。私の食事のときも乗ってきますが、最高で3匹までです」
――いつから猫を飼っているのですか?
「2010年でした。子ども(長女)がまだ小学生のときでした。学校のイベントのときに見つけました。捨てられたのか、迷い猫なのか、野良猫か分かりませんでした。病院に連れて行くと、生後3か月ぐらいと言われましたね」
結局、その三毛猫を飼うことになり、名前をミー子と名付けた。翌年、東日本大震災が起きた。地震の影響でドアの鍵が壊れ、ミー子は開いたドアから外へ出てしまった。その後、無事帰宅したのだが、妊娠していた。「避妊の手術をしようかと思っていたところでした」(繭子さん)。ミー子は3匹の子猫を出産。以来、長楽寺には全部で4匹の猫がいる。
Twitterを開設。「猫全部乗せごはん」などの投稿が話題となり、2018年にはNHKの人気番組「もふもふモフモフ」にも取り上げられ、人気に拍車がかかった。北海道や九州など遠方も含め全国のTwitterフォロワーたちが参拝に来るという。繭子さんは「フォロワーと近い関係を築けてうれしい限りです」という。