思い切って子猫を迎え入れたら…難関の国家試験に合格!?「この子たちがいるから頑張れるんです」

ふじかわ 陽子 ふじかわ 陽子

緑が多い広いお庭。そこで元気に遊んでいるのは、群馬県のチビくんです。チビくんはK家のボス猫で、昼間はお気に入りの木に登ったり大きな手水鉢でお昼寝をしたり。お父さんのSさんが草むしりをすると、むしったところでゴロンゴロンも好きです。

夕方になると、Sさんが呼ぶんですよ。

「チビ、ご飯だよ」

するとチビくんは遊びを切り上げて家の中へ。一緒に暮らす3匹の猫たちとご飯です。ご飯のあとは、家の中でまったり。夜はSさんのベッドで一緒に寝ます。その時にSさんはチビくんに聞くんです。

「今日は何をしてた?何が楽しかった?」

チビくんはニコニコ笑うことで、Sさんの問いに答えます。そして眠りの中へ。チビくんの一日はこのようにして過ぎていきます。

このチビくんがK家の一員になったのは、今から8年前。離乳したかしないかのころに、ふらりとK家のお庭に現れました。普段から猫通りは多いK家の庭ですが、こんなに小さな子は滅多にありません。Sさんは母猫を探すものの、いるのは常連の老猫だけ。

どうやら家族とはぐれてしまった猫のよう。家の子にするかSさんは悩みます。というのも、このころSさんはパート従業員だったのです。前職を辞めたものの、正社員の職がありませんでした。

実はSさん、10年ほど前に猫と一緒に暮らしており、どれだけ猫にお金がかかるかは知っています。今の自分の収入では、満足なお世話をしてあげられないかもしれない。でも、子猫は可愛い…。

悩んで悩んだ末、生後3カ月ぐらいになったチビくんを家に迎えることにしました。日々チビくんのことを思いながら過ごしていると、チビくんがいない生活が考えられなくなってしまったのです。

さて、家に迎えられたチビくん、おとなしく家の中だけで過ごすわけがありません。今まで通りお庭に出たいとせがみます。そこで「お庭だけだよ」と出すと、本当にお庭だけで遊ぶようになりました。道路に飛び出したり、よそのお庭に行くことはありません。今まではSさんやSさんの妹が在宅している時や休みの日だけお庭で遊んでいましたが、現在はコロナ禍で妹が在宅ワーク中。だからチビくん、毎日のようにお庭で遊べるようになったんですよ。

縦横無尽に広いお庭を駆け回り、どんどん大きくなっていくチビくん。1歳になったころに、プッチくんと出会います。この子もお庭にフラリと現れた子です。チビくんとプッチくんはすぐ仲良くなり、プッチくんはチビくんを兄貴分として慕います。当初、妹の同僚の家に行く予定でしたが、仲の良い様子を見ると引き離すのが可哀そうになり家族の一員に。K家に猫が増えました。

生活が苦しくなると思いきや、Sさんは難関の国家試験に合格!これにより、パート従業員から正職員に昇格し、収入もグッと増えました。同居する妹も派遣社員だったのが正社員になり、K家の暮らし向きはどんどん良くなっていきます。

その後、女の子のノアちゃんとユズちゃんも加わり、今では猫が4匹のK家。人間が2人で暮らしていたころとは生活が一変しました。兄妹の会話が増え、笑い声が絶えません。Sさんは言います。

「チビと暮らし始めてから、悪いことが一度も起きません。良いことばかりなんです。猫のことに気が向くから気づいていないだけかも知れませんが(笑)」

こう言ってくれるSさんのことをチビくんも大好き!お礼にネズミを捕ってプレゼントしてくれます。Sさんは「ありがとう」と言って受け取り、ネズミをそっと逃がすのが日課なのだそう。チビくんは、弟分妹分にもオモチャを使って捕り方をレクチャーしているんですよ。

Sさんはチビくんが遊ぶ広いお庭を眺めながら言いました。

「私はチビたちがいるから頑張れるんです」

K家の穏やかな日々がいつまでも続きますように。

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