お盆の法要、今年は増えている? 高齢者ワクチン接種で下がったハードル、緊急事態宣言下でも見送り少なく

平藤 清刀 平藤 清刀

今年はお盆の法要が、昨年に比べて増える傾向にあるという。その理由と、5度目となる緊急事態宣言の影響について、葬儀業者に聞いてみた。

営業努力した昨年より多くの依頼が入っている

「今年は昨年より多くの、お盆法要の依頼(予約)が入っています」

そう話すのは「小さなお葬式」を運営する株式会社ユニクエスト広報の佐藤寛子さん。葬儀業者はお葬式だけでなく、その他の法事・法要も行う。

2019年以降の法事・法要の依頼件数を示したグラフをみると、依頼を受けた件数が7月半ばにピークを迎えるパターンはほぼ同じだが、今年の件数がとくに伸びていることが分かる。ちなみに今年は、8月1日までの数値である。

尚、8月1日までの累計を過去2年と比べたら、2019年/1115件、2020年/1268件、2021年/1888件となる。

コロナ禍で、あれほどうるさく自粛を呼びかけられていた2020年の数値が2019年より増加している理由は、営業努力の成果だそうだ。

「お盆法要は、弊社で葬儀をされた方にご案内をしています。その母数となる葬儀件数自体が増えた、すなわちボトムアップしたため、2020年にお盆法要件数が増えたという単純な理由です。また、コロナ禍の影響でお盆法要の初動の反応が悪かったことから、葬儀をされたお客様へDMを2回お送りするなど、件数を維持するための施策を行ったことも要因です」

もう1社、埼玉県を中心に総合結婚式場や葬斎センターを展開・運営するアルファクラブ武蔵野にも聞いてみた。

広報担当者によると2020年は54件、2021年は142件の依頼を受けたとのこと。しかし「お客様への寺院派遣サービスを本格的に始めたのが2020年からですので、カウントを始めたのも2020年から。あまり参考にならないかも」といいつつ、感覚として今年は増えているという。

緊急事態宣言のあとキャンセルはわずか

7月12日、東京に緊急事態宣言が出され、8月2日には大阪、埼玉、千葉、神奈川も追加された。併せて13の府県が「まん延防止等重点措置」の対象になったことで、なんらかの影響はあったのだろうか。

「8月3日現在で9件のキャンセルがありました」(佐藤さん)

とはいえ「1888件中のたった9件?」という印象だ。またアルファクラブ武蔵野では「法要のキャンセルはほとんどありません」という。

実際に法要を執り行うお寺はどうだろうか。大阪府守口市にある浄土真宗本願寺派真樂寺の副住職・髙藤俊行氏に、いわゆる“現場の感触”を尋ねた。

8月1日の時点で、お盆参りを保留する檀家さんが多かったという。ところが、8月13日になって状況が変わった。

「数日前にお盆参りを保留にされていた方から連絡があって、本日お盆参りをしてきました。やはり今回の緊急事態宣言では、お盆参りを見送るということには繋がらなかったようです」

一方で、葬儀・供養関連サービスを展開する「株式会社よりそう」が30代以上の男女568人を対象に行った「お盆休みに関する意識調査」がある。業者さんへの依頼件数に直結する数字ではないが、ご供養関連行事が例年と比べてわずかに減少しているという。

また、同じ調査で60代以上の3人に1人、30代・40代の5人に1人以上が「お墓参りに心残りがある」と回答している。

「高齢者のワクチン接種が始まったことで、人が集まることに対する心理的ハードルが下がり、お盆法要を執り行う意欲が高まったのではないかと推察しています」(佐藤さん)

とはいえ、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の対象になっていない地域でも、法要の際は感染防止対策の徹底を。

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【資料提供】

▽株式会社ユニクエスト
https://www.osohshiki.jp/

▽株式会社よりそう
https://www.yoriso.com/corp/

▽アルファクラブ武蔵野株式会社
https://www.alphaclub.co.jp/

(順不同)

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