「関西の魚」「日本海の魚」の違いとは!? 日本一の魚屋・角上魚類に聞いた

松田 義人 松田 義人

新潟および関東圏などで全22店舗を展開する巨大魚屋チェーン・角上魚類。関西圏にはお店がないため、馴染みが薄い人も多いと思いますが、各店舗の近隣エリアでは盆暮れ正月や休日には連日入店まで長蛇の車列ができるほどの人気を博しています。

全22店舗で年商400億円に迫るとのことで、「鮮度が命」の魚屋としては異例であるとともに「日本一の魚屋」と呼ぶにふさわしいチェーンとなり、テレビ番組では特番が組まれるほど。

人気の秘密は、地元・新潟や豊洲などで買い付けられる新鮮な鮮魚の豊富さと安さですが、それらには「どこで水揚げされた魚」か必ず示されています。こういった魚の出自がわかるのも面白いのですが、意外なのが「関西圏の魚を見かける機会が少ない」こと。もちろん関西圏でも新鮮な魚が多く水揚げされているはずなのに、何故角上魚類の店頭に並ぶことが少ないのでしょうか。今回は、この点の謎について、角上魚類の鮮魚バイヤーで日々魚を仕入れている眞田政明さんに話を聞きました。

 

関西圏の魚が、関東や新潟にさほど入ってこない理由とは?

――角上魚類は新潟、豊洲の両方で仕入れを行っているそうですが、店頭で意外と見かけないのが関西圏の魚です。どうして関西圏の魚が少ないのでしょうか。

眞田政明さん(以下、眞田):単純な話なのですが、関西圏の魚は現地で消化されることが多いため、新潟・豊洲に入ってこない傾向があります。

――関西圏で獲れる美味しい魚にはどんなものがあるのでしょうか。

眞田:関西圏からさらに西に行った日本海側の鳥取とか島根は特に豊富に魚が獲れます。アジ、剣先イカなど。現地に行って食べると本当に美味しいです。

また、瀬戸内海側も本当に様々な魚が獲れ、全国的にはあまり流通しないイカナゴなんかも美味しいですよね。さらに明石のタコも有名ですし、太平洋側の大阪湾とかでもタコはたくさん獲れます。冬は普通にブリ、ズワイガニ。春はアジやタイも始まりますし、6月くらいは本マグロなどがメインになってくるのではないでしょうか。

ちなみに新潟では関西圏で好まれる魚として春はサワラ、今が旬のアマダイが多く水揚げされて毎日大阪の市場に出荷されています。今年は豊漁で相場が安くてお買い得の魚ですよ。

 

  

  

角上魚類の仕入れでは「鮮度」「価格」だけでなく、「どんな漁法で獲った魚」にも注目

――日本海の魚に関して、角上魚類の仕入れではどんな点にこだわっておられますか?

眞田:「鮮度が良い」「安い」というのはもちろんですが、さらに新潟の市場では「新潟のどの漁師さんが獲った魚なのか」という点もチェックします。同じ魚でも船によって仕立てが違いますので。例えば、網で魚を引っ張る漁法でも、「網を仕掛けて長時間かけ、引っ張ったもの」「狙いを定めて短時間で引っ張ったもの」だと、後者のほうが圧倒的に鮮度が良いです。

あるいは「巻網、トロール、ゴチ網、定番網、釣りのうちどれか」とか「揚げた魚を船の上で、どんな風に扱ったのか」「獲ってから浜に持ってくるまで船の上でどれくらい時間を過ごしたのか」みたいなことも、バイヤーとして頭に入れておきます。こういった情報・知識を前提に、あとは魚と値段を見て「仕入れる」「仕入れない」を決めています。

ちなみに当社で言うと、今の時期は南蛮エビ(甘エビ)がオススメです。南蛮エビ(甘エビ)の鮮度は新潟が日本一ですが、夜中に水揚げされたものをその日の昼までに関東圏のお店の店頭に並べています。関東圏の方は、我々がこだわって仕入れたお手頃価格の魚を角上魚類の店頭まで是非とも見に来ていただきたいですね。

 

◇  ◇

眞田さんのお話から、関西圏の魚はそのエリアで消費される傾向が強いことから、関東圏や新潟ではなかなか目にしないことがわかりました。一方、関西圏では新潟・日本海の魚も多く出荷されていることもわかりました。このように「産地」の違いを確認しながら食べ比べてみると、さらに奥深い魚の面白さを感じられるかもしれませんよ。

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