前代未聞!?監督が「この映画あげます」 映画館がプレゼントされたオリジナル作品を自ら配給

黒川 裕生 黒川 裕生

神戸の歴史ある商店街の一角で産声を上げたミニシアター「元町映画館」が8月、開館から11周年を迎える。10周年のメモリアルイヤーだった昨年は、コロナ禍で休業を余儀なくされるなど全国の映画館と同様激しい逆風に見舞われたが、11周年はなんと、オリジナル長編映画を自主配給するという異例の試みに挑む。主演のひとりは津田晴香さん。2年前に元町映画館を席巻した超B級ホラー映画「みぽりん」で注目された神戸在住の俳優だ。

元町映画館は2010年8月21日、神戸元町商店街でオープン。硬軟織り交ぜた通好みのラインナップはもちろん、上映作品にちなんだトークショーなどの自主企画で映画ファンの支持を集める。

「これまでの10年は映画館として自立するための期間でしたが、映画を愛する人たちの支援でどうにか持ち堪えたコロナ禍を経て、これからの10年は『良い映画館とは何か』『文化が社会の公共財として必要とされるために何ができるのか』という課題としっかり向き合いたい」。そう語るのは、支配人の林未来さん。最も厳しい時期は脱したとはいえ、現在も観客数はコロナ禍前の6〜7割程度にとどまる。

そんな中、突如浮上したのが「オリジナル作品『まっぱだか』の自主配給」という一映画館としては前代未聞の企画。元町映画館とも縁の深い安楽涼監督と片山享監督による共同監督作品で、もともとは複数のクリエイターで短編オムニバス映画を作る10周年プロジェクトの一環だったが、コロナ禍による延期や脚本が長くなったことなどから監督2人の“別企画”に。完成した作品が、このほど2人から元町映画館に「プレゼントされた」(林さん)という。

「まっぱだか」は神戸・元町で全編ロケした「めんどくさくて愛おしい男女の喜劇」。柳谷一成さんとダブル主演した津田さんは、「他人から求められる自分に翻弄されるナツコ」を演じた。「事前に監督からインタビューもしてもらったことで、本当に私の話みたいに感じる。嫌いだった自分の嫌な部分と向き合い、肯定できるようになった大切な作品です」と津田さん。クライマックスではタイトル通り“まっぱだか”の気持ちを叫び、俳優としても一皮むけたようだ。

実は元町映画館では今、「津田晴香スター化計画」が進行中。林さんは「素直でかわいい津田さんの魅力をたくさんの人に知ってもらいたい。『まっぱだか』はそんな津田さんの名刺代わりになる作品です」と早くも手応えを感じている。津田さん自身も「大好きな元町映画館とこんな形で携われて嬉しい。一緒に11周年を盛大にお祝いしたい」と声を弾ませる。

「まっぱだか」は8月21日から元町映画館で先行ロードショー。9月に京都みなみ会館と大阪のシネ・ヌーヴォ、2022年以降は東京など各地で公開を予定している。

【元町映画館】https://www.motoei.com/

【「まっぱだか」公式サイト】https://mappadakacinema.wixsite.com/mappadaka

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