カビやホコリが原因?夏に多い「夏型過敏性肺炎」掃除嫌いな独身男性は要注意

ドクター備忘録

尾原 徹司 尾原 徹司

 高温多湿な日本の夏は特に湿気やすく、カビ、ダニに悩まされる季節でもあります。そんな夏に発症しやすい疾患が「夏型過敏性肺炎」です。カビやホコリなどを吸い込むことで引き起こされる病気です。症状は発熱や咳、息切れ、だるさなど。夏風邪や新型コロナとも似ていて、要注意です。

症状は夏風邪にそっくり夏に長引く咳は危ない?

 最初は熱が出て、咳も続き「夏風邪かな」と思う人が少なくありません。風邪とよく似た症状なので放置しがちですが、咳が長く続くようなら、もしかして「夏型肺炎」ともいわれる「夏型過敏性肺炎」を疑ってみてもいいかもしれません。

 一例ですが、会社員のAさんは発熱が出て咳に悩まされていました。ご本人は夏風邪と思い込んでいたようですが、症状を聞けば、自宅にいるときに咳が止まらないといい、会社に行けば、緩和されていました。そして「昨年の夏も同じ症状があった」ともいいます。判明した病名は夏風邪ではなく、夏型過敏性肺炎でした。

夏型過敏性肺炎の原因で多いのが「カビ」!

 肺炎と聞けば、ウイルス性を思い浮かべがちですが、過敏性肺炎はホコリやトリコスポロンというカビなどを吸い込むことによってアレルギー反応を起こし、発症します。

 トリコスポロンはエアコンや台所、浴室に多く繁殖し、特に6月から9月のカビが繁殖しやすい夏に増えます。特徴として家に長時間いる人が発症しやすく、前述した会社員のAさんのように、帰宅したときだけ症状が出る人もいます。

 他の原因としては、鳥の羽毛や排せつ物なども考えられます。症状は発熱、咳、息切れ、だるさなどです。発熱する場合、微熱の人もいれば、高熱の人もいます。咳でわかりやすいのは過敏性肺炎はアレルギー反応による咳なので、たんを伴わないことです。

 検査では問診のほか、胸部レントゲンやCT(コンピューター断層撮影法)の画像で肺の状態を確認し、血液検査でアレルギーの要因となる抗体などを調べます。根本的に治すには、原因となっているカビなどを除去することや環境を改善することが重要です。治療としては病状により、アレルギーを抑えるステロイド薬を出すこともあります。

予防するにはカビの繁殖を防ぎ、掃除を欠かさないこと

 夏型過敏性肺炎も原因を取り除くことが重要です。防カビ剤を使えばカビの量を減らすことができますが、根本的に解消するには発生源を取り除くことです。カビを繁殖させないためには、カビの繁殖の原因となっている養分と水分と温度に注意することです。

① こまめな換気が重要

 とくに、湿気が多い風呂場の換気は重要です。また、室内の換気もこまめにしましょう。

② 水分は拭き取ること

 水分を残さないことが大切です。たとえば、水回りのタイルなどの水分は乾いた布でしっかり拭き取りましょう。

③湿気の多い場所は風通し良くしましょう

 押入などはすき間を作る工夫をしてください。

④寝具の手入れも大切

 カビが好む皮脂がつきやすい寝具は定期的に洗ったり、干したりしましょう。独身男性は特に注意!

 夏型過敏性肺炎の防止だけでなく、健康のことも考えて、日頃から換気や掃除などはこまめにすることをおすすめします。

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