ワクチン接種予約に裏技?かかりつけ医の「キャンセル待ち」が続出 行政担当者「事情ある人には案内」

斉藤 絵美 斉藤 絵美

 新型コロナウイルスのワクチン接種の一般予約が7月上旬から、全国各地で本格的に始まります。これまでは高齢者や基礎疾患がある人、医療従事者など特定の優先接種者のみが予約でき、接種が進められてきました。今後はそれに該当しない、いわゆる「大多数の人」の予約が始まります。

新規予約停止、予約競争への懸念も

 しかし、各家庭にワクチンの接種券が届き始めた矢先、国から全国の自治体や職場に供給されるはずのワクチンが滞り、必要分の半数程度しか供給されないという報道がありました。7月後半以降の供給も見通しが立っておらず、神戸市や兵庫県明石市では予定していた新規予約の開始を一時停止する方針を決めました。接種制限にまで至らなくても、接種会場を減らす自治体もあります。

 このような状況で一般予約が始まると、懸念されるのが“予約競争”。高齢者を対象とした際も、予約開始直後から自治体が設置した専用のコールセンターに電話が殺到し、回線がパンクしたため、多くの人が「予約できない」事態になりました。年齢制限などを問わずに行った自衛隊による大規模接種では、大阪会場分はたった30分足らずで用意していた枠が全て埋まってしまいました。供給不足が判明した直後でもあり、一般予約が開始されると再び同じような混乱が起こるかもしれません。

 新型コロナのワクチンを担当する河野太郎行政改革担当相は、接種について再三、「焦らずに」と国民に呼びかけてきました。必要な量のワクチンは9月末までに供給され、10月には自治体などに配送される、という見通しを示しています。しかし、基礎疾患などがなくても、少しでも早くワクチン接種を済ませておきたい人はたくさんいます。たとえば、仕事で海外に行かなければいけない人、お盆に法事などで実家に帰省しないといけない人もいるでしょう。

 そんな中、6月下旬に兵庫県内に住む知人から「1回目のワクチン接種を済ませた」と連絡がありました。知人は30代女性で、優先接種の対象者ではありません。通常であれば7月中旬から予約が受け付けできる年代です。仕事の関係でできるだけ早く接種を済ませたかったそうで、かかりつけ医に相談したところ、「キャンセル待ち」として登録するよう勧められたといいます。登録するとすぐに連絡があり、接種の順番が回ってきたそうです。

規定より早く打つのはルール違反ではない?

 女性が住む自治体に問い合わせたところ、担当者から「違反ではありません」と返ってきました。担当者によると、「早く打ちたい」という相談は多いといい、理由がない限り、年代ごとに設定している予約開始日を待ってほしいと伝えているそうです。しかし、なんらかの理由で「どうしても」という人には、かかりつけ医に相談し、可能であればキャンセル待ちができる制度を伝えているそうです。

 コロナワクチンは複数回分(5〜6回分)が入った瓶で専用の冷凍庫で保管されており、開封するとすぐに使い切る必要があり、翌日に回すことはできません。そのため、当日にキャンセルが出た場合、接種する人がいなければ破棄せざるを得ません。病院にとっても、キャンセル待ちは有用な制度です。

 実は、私の夫(40代)も接種を急ぐ1人でした。8月頭から海外赴任するため、できることなら日本で確実にワクチン接種を済ませておきたいと考えていました。しかし、通常なら7月中旬から予約が始まり、そうなると接種はいつになるかわかりません。渡航までの接種はほぼ諦めていました。

 知人の話を聞いて、すぐに接種を実施している近くの病院2カ所に電話でキャンセル待ちを申し出たところ、翌日に1カ所から早速連絡がありました。その日は都合がつかず断念しましたが、5日後にはもう1つの病院から連絡があり、無事に接種することができました。その医師によると、「キャンセルは割と頻繁に出ますよ」とのこと。渡航前に2回目の接種も完了できそうです。

 供給不足が判明し、今後、接種が予定より遅れる可能性が高まる中、事情がある人はまずはかかりつけ医に相談してみてはいかがでしょうか。

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