全国の神社を掲載するサイト「カミムスビ」がオンラインで賽銭できる機能を神社側に無断で設け、掲載された相当数の神社が、SNSアカウントで「掲載許可もonlineのお賽銭などの契約も交わしておりません」「一切の連絡がなく、困惑しております。現時点で当該団体とは関わりがありません」「サイトと当宮は一切の関係がございません」などと注意を呼び掛ける異例の事態になっています。同サイトは賽銭機能を停止したことを8日夜に明らかにするとともに、お詫びのコメントを掲出しています。
カミムスビは一般社団法人神社を守る会が2021年5月にオープンしたWebサイト。団体の資料では、全国にある10万社を超える神社のうち、約7割が運営難となっており、10年以内に数千の神社がなくなる状況にあると説明。こうした現状をサポートするのが「カミムスビプロジェクト」という非営利事業で、サイトをその中核に位置付けています。サイトにはユーザー投稿による神社データベースや記事、イベント情報があり、神社データベースを条件なしで検索すると、35129件がヒットしました。
今回批判を浴びたお賽銭機能が実装されたのは6月下旬。購入した賽銭をオンライン奉納することで、サイト運営から各神社へ奉納されるという流れで、「¥50より行うことができます」「購入は各種クレジットカードにより決済することができます」とサイト上で説明しています。
こうしたお賽銭機能について、個々の神社はSNS上で「当社は許可しておりませんし、お賽銭の入金も一切ありません」「そんな話聞いてないです」「かわりにお賽銭を集めてわざわざお持ちいただけるサービスなんて当社利用しておりません」と驚きや不信感を露にしています。サイトには兵庫県内の24の神社も掲載されていますが、まいどなニュースの取材に「このサイトを知り驚いています。仮にオンライン賽銭をするとしてもこうした外部のサイトにお任せすることは考えておりません」(生田神社)、「事前に連絡や相談は一切ありませんでした」(湊川神社)と困惑を隠せません。
全国8万社の神社を包括する神社本庁(東京)によると、カミムスビのサイト運営者から以前、予定しているプロジェクトの内容について相談を受ける機会があり、その際、お賽銭機能の話が示されたそうです。その際、「事業の性格上、好ましくない」と助言しましたが、結果的に機能が導入されてしまいました。今回、お金の流れの透明性などに疑義がある点や掲載された神社が不安や不信を抱いている点について文書で質問したところ、サイト運営者から「善意でやっていたが、軽率な点があった」として機能を停止するといった内容の回答があったといいます。担当者は「承諾なく掲載された神社の求めにも対応してほしいと強く伝えました」と話しています。
カミムスビのサイトでは、運営者が一連の経緯を説明。「(各神社などの)関係各所に対し、ご連絡を怠ったことを深くお詫び致します」として、オンライン賽銭機能についても「多々不備がある」と認めました。また「詐欺行為は断じて一切行っていません」として「SNSで発信されていている内容には事実無根の誹謗中傷が多く見られます」と訴えています。