意外と見てない「タイヤの空気圧」下手すりゃ死亡事故に!? 画期的な警報器を開発した男性の思いとは

桑田 萌 桑田 萌

夏といえば、旅行や帰省。車に乗って遠出するドライバーも多いだろう。旅に出る前に気にしておいてほしいのが、「タイヤの空気圧」。それならぜひ、自動で空気圧の状態がわかる「エアーミマモリ君」を取り付けてほしい。これがあるだけで、悲惨な死亡事故を防げるかもしれないのだから。

エアーミマモリ君は、タイヤの空気圧低下を知らせる警報器。奈良県桜井市でタイヤ販売店「スリーウッド タイヤの森」を営む森啓二さんが開発した。タイヤのエアーバルブに取り付けるだけで、空気圧が低下すると警報器が反応しLEDが光る優れモノだ。

タイヤの空気圧、日頃そこまで細かくチェックしないドライバーも少なくないのではないだろうか。しかし確認を怠ると、死亡事故をも引き起こしかねない危険性をはらんでいるという。

森さんがエアーミマモリ君を開発したきっかけは、2004年に山陽自動車道で発生した事故だった。車のタイヤがパンクし、ドライバーが交換作業をしていたところにトラックが追突。後部座席にいる幼児を含む5人が死亡した。

また2020年には、徳島自動車道でタイヤのバーストが原因でワゴン車が対向車線にはみ出し、トラックと衝突して2人が死亡する事故が起きている。

タイヤのパンクとバーストの主な原因は、空気圧不足によるものだ。日本自動車連盟(JAF)は月に一度のタイヤ点検を呼びかけているが、3台に1台は空気圧が不足しているという。パンクやバーストによるJAFの出動回数は、2020年度で38万回を超えている。

「タイヤの空気圧を日頃からチェックしていれば防げる事故もある」と森さん。「タイヤ業界に携わる者として、このような事故が起きるのは悲しい。現状を変えたい」という使命感に駆られ、エアーミマモリ君を開発した。これまでにも他社メーカーによる空気圧警報器はあったが、日本では取り付けが義務化されておらず、あまり普及していないという。

「もっと気軽に取り付けられるような空気圧警報器を」と考え、誰でも簡単に取り付けられるような利便性を重視。特許を取得することで、安心性も高めた。トラック用には、Bluetoothでスマートフォンと連動できる機能も実装。警報器の販売代理店とドライバーをつなぐクラウドサービスもリリースし、器具を通して代理店がタイヤの状態をチェックできるようにし、事故を未然に防ぐ仕組みもつくった。

開発に10年もの月日を費やしたエアーミマモリ君。森さんの熱い思いが叶い、奈良県で行われた2つのビジネスコンテストで入賞を果たした。

「タイヤの空気圧不足によって失われる命を少しでも減らしたい」との一心で開発したという森さん。今後の目標は「警報器の開発過程が網羅できるミュージアムを作ること」。交通事故から命を守るべく、これからもタイヤ業界にできることを発信していく。この記事を読んでいるドライバーも、ぜひ安全な運転を心がけてほしい。

乗用車用のエアーミマモリ君は現在「Makuake」で販売している(2021年7月20日まで)。

■Makeake 販売ページ:https://www.makuake.com/project/3woods/

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