抜擢の理由はその声にあり。「イシグロキョウヘイ監督が僕の舞台を見てくださったときに『チェリーの声を見つけた!』と思ってくださったそうです。人見知りという性格的にもチェリーは僕に似ている。共通点を自然に出そうと思ったので、役作りはあえてしていません。半分は素の自分で挑んだようなところがあります」と親近感あるキャラクターに救われた。
深く役作りせずに臨んだのも初めて。「歌舞伎だと役作りは結構する方です。昔の資料を調べたり、ほかの役者さんがやったときの写真や映像をチェックしたり。でも今回の役柄は僕にそっくり。ならば自分との共通点や共感点が出ないと僕がやる意味がないと思ったので、素の自分を出すように心掛けました」とこだわりを持って演じることができた。
個別で収録したそれぞれの声がミックスされて、一つの作品になるというアニメーションならではの醍醐味にも感動。「まるでパズルが完成したかのような感覚で、一気に作品の全体像が見えた。それが凄く楽しくて。声優の皆さんと一緒に収録させていただいたパートでは言葉にできないような感情が心に渦巻きました」といまだかつてない刺激を経験した。
自己採点が「20点」と辛口なのは、思春期ならではの感情も関係しているのかも。「改めて自分の声を聞くと…気持ちワルっ!と思う」と照れ笑い。プリンスの初々しさが詰まった一作だ。