五輪開催反対デモよりも、意思表示は“選挙”で! 夜回り先生、学校観戦にも強い懸念「言語道断」

夜回り先生・水谷修/少数異見

水谷 修 水谷 修

 東京五輪の開幕まで1カ月を切った。新型コロナウイルス感染拡大の中での開催に「不安」の声が高まり、中止を求めるデモが行われている。また、小中学生が一般客とは別枠で観戦するプログラムについても、感染リスクへの懸念から中止する自治体が増える一方、参加する動きもある。「夜回り先生」こと教育家の水谷修氏はその現状に対して自身の見解を示した。

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 多くの専門家や有識者による、開催が、新型コロナウイルスの感染拡大につながるという指摘にもかかわらず、政府は、東京オリンピック、パラリンピックを開催すると決定しました。私個人は、そのリスクや、国内でのワクチン接種状況から見て、開催に反対ですが、国民の多数が選んだ政権が、決定した以上、それに従うしかありません。それが、民主主義です。

 そのような中、開催に反対する人たちが、デモなどの示威行動を行っています。しかも、開催賛成派の人たちとのぶつかり合いが起きたとの報道もあります。これから、このような事態がさらに増えていくことを怖れています。

 私は、このような活動は、意味のない無謀な行動だと考えます。そのようなことをするよりも、オリンピック、パラリンピック開催中は、不要な外出を避け、またテレビやネットでそれを観戦することも止め、それぞれのスポンサー企業の商品を買わなければいいのです。スポンサー企業は、商品にオリンピック、パラリンピックのマークを付けていますから判別は簡単です。その方が、はるかに政府や関係者、関係企業にとっては、大きい痛手となります。そして、7月の東京都議選、秋の衆議院選挙で、政権与党に投票しないという形で、政府に対する批判を意思表示すればいいのです。これが、本来の民主主義の在り方だと私は考えます。

 また、開催に賛成の人たちにも、考えて欲しいことがあります。つぎの感染拡大を、私たち自身の手で防ぐためにも、外国からの選手や関係者が来日し始めた今、東京都はもちろん他の開催自治体、選手たちが滞在する自治体の住民は、できる限り、選手たちとの接触を避け、不要な外出も避けるべきです。そして、オリンピックやパラリンピックを観戦しに行くことを止め、自宅でテレビやネットで観戦すべきです。そうすれば、感染拡大を相当抑えることができます。

 また、多くの学校が中止したようですが、それでも、一部の小中高等学校は、児童、生徒を引率し、観戦する予定だと報道されています。言語道断です。私は、京都の大学で、教えていますが、修学旅行で訪れる児童、生徒はほぼいません。大切な学校行事である修学旅行すら中止にしている今、日本で最も感染の危険性が高い競技場に生徒を引率して、集団で訪れる行為は、自殺行為です。ぜひ、再考してほしいと考えます。

 いずれにしても、政府が、国民の安全や命より、オリンピック、パラリンピックの開催を優先としてしまった今、私たち国民は、自分や家族の安全と命を、自分自身の手で守るしか在りません。

 私たち一人ひとりの、これからの行動に、感染拡大の抑えることができるのかどうかが、かかっています。

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