普段、何気なく見ているOsaka Metro(大阪メトロ)の路線カラー。関西の方なら御堂筋線=赤色、谷町線=紫色…などといった感じで覚えていると思います。ところで、あの路線カラーに意味はあるのでしょうか。
路線カラーに関する公文書は存在しない!?
最初から話の腰を折るようなことを書きますが、大阪メトロには路線カラーに関する公式な記録や書類は存在しません。ですが、大阪市交通局時代からの職員や関係者の話しをすり合わせることにより、路線カラーの由来が伝えられています。
御堂筋線
まずメインルートといえる御堂筋線から。御堂筋線は江坂~なかもず間24.5kmの路線であり、大阪メトロで最も利用客の多い路線です。その証拠にJR、阪急、阪神との接続駅、梅田駅の1日乗降客数(2019年)は約44万2千人となり、大阪メトロではダントツ1位の乗降客数です。また北大阪急行電鉄(江坂~千里中央)と相互直通運転を実施し、千里ニュータウンへの足という役割も果たしています。
御堂筋線の赤色はズバリ人間の動脈から。大阪の大動脈にふさわしい色といえます。
谷町線
谷町線は全長28.1kmにも及び、大阪メトロでは最も長い路線です。谷町線の特徴は難読駅が2駅もあること。野江内代(のえうちんだい)駅、喜連瓜破(きれうりわり)駅はなかなか読めないものです。喜連瓜破駅に関しては折り返し列車も設定されているため、放送で耳にする機会も多いです。
谷町線の紫色は最高ランクの高い僧侶が着る法衣の色から。沿線に寺院が多い谷町線らしい色です。
四つ橋線
四つ橋線は西梅田~住之江公園間を走り、大国町~西梅田間は御堂筋線のバイパス路線としての役割も果たしています。そのため梅田・西梅田、淀屋橋・肥後橋、四ツ橋・心斎橋を発着または経由する定期券は御堂筋線、四つ橋線それぞれの対応駅で乗り降りができます。
四つ橋線の青色は海側を走っているという理由から。また並行する御堂筋線が赤色(動脈)に対し、青色(静脈)とも言われています。
中央線
中央線は長田~コスモスクエア間を東西に結び、近鉄けいはんな線(長田~学研奈良登美ヶ丘)と相互直通運転を実施しています。2025年に開催される大阪・関西万博のアクセス鉄道路線として注目を集めている中央線。コスモスクエア駅から会場となる夢洲への延伸計画があります。
中央線の緑色は沿線にある大阪城公園の緑色から。ちなみに中央線に乗り入れる近鉄車の車体には緑色がないため、鉄道ファンでなくてもすぐに大阪メトロ車と近鉄車を判別できます。
千日前線
千日前線は野田阪神から南巽(みなみたつみ)へ至る路線です。同路線は阪神なんば線、近鉄難波・大阪線との並行区間(桜川~鶴橋)があることが特徴です。またミニ地下鉄(長堀鶴見緑地線、今里筋線)やニュートラム以外では唯一のワンマン運転を実施しています。
千日前線の路線カラーはピンク色! 由来は歓楽街のネオンをイメージしたとのこと。沿線にはミナミのメインエリアにあたる歓楽街「千日前」があります。
「本当にそれでいいんか!」とツッコミを入れたくなりますが、何とも大阪らしいと思うのは筆者だけでしょうか。
堺筋線
堺筋線は天神橋筋六丁目~天下茶屋間を結び、開業当初から阪急京都本線・千里線と相互直通運転を実施しています。また天下茶屋駅で関西国際空港方面へ向かう南海本線と接続することから、関空アクセス線の一端を担っています。
堺筋線の路線カラーは茶色ですが、これは大方の察しどおり、乗り入れる阪急電車の「マルーンカラー」にちなんだもの。大阪メトロの路線カラーにも採用されるとは! 阪急の「マルーンカラー」強しです。
長堀鶴見緑地線
長堀鶴見緑地線は門真南~大正間を結ぶミニ地下鉄です。今まで紹介した路線の電車よりも小さく、リニアモーターカー式を採用しています。またすべての大阪メトロの地下鉄路線と接続することも特徴です。
長堀鶴見緑地線の路線カラーは萌黄色。同線は1990(平成2)年開催の大阪花博へのアクセス路線として開業したことから、鶴見緑地の萌黄に由来します。
今里筋線
最も若い地下鉄線が今里筋線です。大阪市の東に位置する井高野と今里を結びます。今里筋線の延伸予定区間ではBRT「いまざとライナー」が運行されています。
路線カラーはオレンジ色で、他路線が使用しておらず、暖かさをイメージしたとのことです。
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次に開業する地下鉄線は何色を採用するのでしょうか。気になりますね。