兵庫県・姫路市で開催中の展覧会「楽展」。ビルの1階と2階で5業種が展示する作品や商品、サービスを見て楽しみ、触って驚き、創作の楽しみを体験できる、企業主催の風変わりな展覧会だ。出展メンバーは書家に似顔絵、酒屋に広告代理店、そしてプリントサービスなどさまざま。楽展の楽しみ方を聞いた。
会社ってこんなことやってるの!?見どころポイントご紹介
姫路市内、小性町交差点にあるビルの通りに面した壁面には、大きく朱色の「楽」の文字とともに、映画のポスターが並んでいる。
これは、感動会社楽通の「企業映画化ポスター」。まるで俳優のように豊かな表情でポーズを決める人たちは、全員その会社の社員。宣伝や求人目的に制作されるが、実際会社のアピールや採用に大きく貢献。全国から注文が舞い込んでいる。
光明兼光本店(こうみょうかねみつほんてん)は日本で唯一、カラフルで美しいボトル彫刻「Tekizami」を制作する。
社長の内海淳さんに勧められ、触ってみると表面がデコボコ。そう、ラベルに見えたそれは、直接ガラス瓶に施された彫刻だ。そこへ着色して、ボトルが芸術作品に仕上がる。このフルカラーで着色する技法で、2年前に特許も取得した。
「特別なワインとして特別な日に、またご贈答用にも大変喜ばれています」
筆を使ったアーティストで、「書き下ろし館」代表の長田(おさだ)幸次郎さん。作品は、心からのメッセージが墨で大胆に表現される。
神戸や大阪で創作活動をしていた長田さんは、数年前から姫路で似顔絵などとのコラボ商品を制作、販売。しかし「最近学生さんの創作にかかわって、自分も無性に創作意欲をかき立てられた」という。
未来画工房代表の大塚有華さんは、似顔絵を始めて7年目。今回、楽展で初めて個展を開催している。
「普段は、注文を受けて描いています。創作活動も行っていて、個展を開くのが夢でした」。本人も思わぬ形で実現。2階には最新作も並ぶ。
ここは不思議な出会いがあるスポット
楽展には事業仲間はもちろん、洋服店時代のお客さんなど一般の人たちが気軽に訪れる。「ここは不思議な出会いが生まれる」と話すのはUMEYA代表で、会場ビルのオーナー梅田繁さん。
洋服店「うめやエール店」として使っていたが、ここ1年ほどは空いたまま。空調や水回りの修繕も必要で、もう使えないと思いこんでいた。
ところが4月下旬、たまたま楽通の田村さんから合同展覧会構想の話を聞く。「ビルを見た田村さんに『ここ、会場に使えるよ』と言われ、まさかと思いました」
会場として貸すのも合同展覧会も初めて。どうなるか想像もつかなかったが「来場した方から、こういうやり方で一緒に仕事をなどと誘われたり。企業映画化ポスターを見たご婦人から、映像関係の仕事をしている息子が将来について悩んでいるので、相談にのって欲しいといった話もありました」。お互い、前向きな話し合いができるのが刺激的という。
楽通の田村さんは、ここはコロナ禍で会えなかった人との再会スポットにもなっているという。ちなみにこの日は、久々に再開したという「写真屋京町店」の代表が来場。姫路城や書写山圓教寺がデザインされたうちわや、クリアファイルなどのグッズを展示・販売用に並べていた。長らく販売店舗が閉鎖され、販売できなかった商品だ。
ちなみに中で販売するクッキーは、楽展のレセプションパーティでケータリングを担当した「Bon-Mark(ボンマーク)」の喜多マリコさんが作ったもの。
新型コロナウイルスの影響で事業が立ちいかない彼らの活力になればと、会期中でも飛び入り参加してもらっているそう。
「楽展」がひとつのコンテンツとなり、さまざまな人がさまざまな形で利用し、アイデアをシェアし、絆を深める場になればと語る田村さん。「元気になったと言ってもらえたら最高です」
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▽「楽展」
開催期間:5月31日(月)~6月27日(日)
時間:10:00~17:00(木曜休み)
場所:旧UMEYAエール店(姫路市小姓町85-5)
駐車場:セレクトショップUMEYA横(姫路市小姓町30)
出展者:
★うめや/洋服、場所提供
★感動会社楽通(株)/企業映画化ポスター
★(株)光明兼光本店/ボトル彫刻TEKIZAMI
★未来画工房/似顔絵、絵画作品
★書き下ろし館/筆文字作品、書き下ろし(※期間中は5,000円で色紙作品を販売。最終日はイベント価格の2,000円で行う予定)
※絵画作品は購入可