「お客さんが少ないと…いつもより美味しい物ができてしまいがち」!?老舗和菓子屋のつぶやきに広がる共感

山本 明 山本 明

「これは反省しなければならない話なんですが お客さんが少ないと時間や心に余裕が出てしまい、いつもより美味しい物ができてしまいがちです。 良い仕事をするにはやはり余裕が大切なんですね。」という文言とともに6月5日に投稿された水晶玉のような涼菓の投稿が注目を集めています。

 画像をツイートしたのは明治35年創業の和菓子屋「金精軒」(山梨県北杜市)の公式アカウントで、お菓子は同店で毎年6月~9月末まで限定発売される「水信玄餅」です。店を構える山梨県北杜市白州町はミネラルウォーターの産地としても名高く、水の綺麗さと美味しさで知られており、水信玄餅はこの名水を寒天で固めたシンプルな水菓子です。

 ツイートには銘菓の美しいできばえを称賛する声と共に「本当に余裕、大切ですね」と共感が寄せられています。投稿の経緯を同店Twitterを担当する小野允大(みつひろ)さんに聞きました。

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――なぜこのような投稿をしようと思われたのでしょうか?

 以前から、忙しい日よりも、お客さんの数が少なく余裕がある日の方がよりお菓子を丁寧に作れ、しっかりとした接客ができることに気が付いていました。これから金精軒は夏の風物詩「水信玄餅」が始まって忙しくなるのでそのタイミングで「忙しいのは良い事」「暇は悪い事」といった認識を持っている方にこの気持ちをお伝えしたくなり、文章にしたためた次第です。

――投稿に様々な職業の人から賛意が寄せられました。

 僕たちのお菓子がバズった、というよりも「余裕がないと良い仕事ができない、というところに共感して貰えた、と感じていますし、それが嬉しいです。頑張れば頑張るほど良いものができる、というのではなくて、もちろん頑張ることは大事なんですけど、余裕と頑張ることのバランスがとれていることが、良い仕事に繋がるのかな、と思っています。

――「水信玄餅」を食べたい、というコメントも多く寄せられています。

 少量の寒天で限界まで水をふくませて作ったお菓子ですので、業務用の冷蔵庫から出し、外気に触れるとすぐ水がしみ出していきます。そのぶん口に入れた際の、やわらかい食感とみずみずしさが特長です。

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 コロナ禍の現在、「水信玄餅」は例年より生産量を減らし、一日100個前後を作って販売しているそう。運搬やお取り寄せはできないので、もしこの銘菓を口にする機会があれば、なるべく早く口に入れてその涼味を楽しんでくださいね。

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