茨城県境町の住宅で2019年9月、会社員男性と妻が殺害され、子ども2人が重軽傷を負った事件で、夫妻に対する殺人容疑で埼玉県三郷市の無職岡庭由征容疑者(26)が7日に茨城県警に逮捕されたことを受け、元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は10日、当サイトの取材に対し、岡庭容疑者が被害者側の存在を一方的に認識して下見をした上で、犯行に及んだ可能性を指摘した。
小川氏はこの日午後、事件現場を改めて取材。同氏は「周囲に張られた規制線から約100メートル奥にあるのが被害者のお宅になります。周辺は田園地帯と言っていい場所で、ほとんど住宅はありません。未明の時間に、被害者宅に侵入するには、行き当たりばったりで入れる場所ではない。昼でも住宅があるのが分かりにくいのに、夜間はまず分かりません。何か目的があって、事前に下見をして、ここに家があることを知っていたと考えられる」と分析した。
埼玉県三郷市の容疑者宅から事件現場まで約30キロ離れており、自転車で約2時間ほどかけて移動したとみられている。双方に面識はないとの見方がある一方、容疑者はスマホで現場を撮影するなど下見しており、事件前には熊撃退用のスプレーを購入し、殺害された夫妻の次女に噴射されていた。小川氏は、現場の環境からして、偶然に住宅に侵入したのではなく、たとえ面識がなくても、何らかのきっかけで、容疑者が一方的に被害者宅にターゲットを絞っていた可能性を指摘する。
小川氏は「ここに家があること自体、通常では分からない場所です。お互いに面識はないかもしれないが、ご家族の誰かについて、容疑者が勝手にこういう人が住んでいたと知っていた可能性はある」と推測。さらに、同氏は「家に入ろうと計画していたかは別にして、この付近には来ようとして、スマホで記録を取っていた。また、催涙スプレーを事前に購入していることから、人を襲うことに使おうという意図がある。次女は顔にスプレーかけられそうになって手でふさいだ」と付け加えた。
逮捕への証拠の決め手の一つとして、足跡の一致が挙げられる。小川氏は「人によって履き癖というものがある。(靴底の)どこが磨り減っているか、靴底に特徴のある傷があるとか、同じメーカーの靴ということだけでなく、履き癖等の足跡を照合して酷似しているという情報を警察はつかんでいたとみられる」と指摘した。