レトロな工場に猫猫猫…コロナが落ち着いたら行ってみたい 佐賀・有田の隠れ猫スポット「猫壁ストリート」

西松 宏 西松 宏
猫壁ストリート。レンガの煙突とベストマッチ
猫壁ストリート。レンガの煙突とベストマッチ

 有田焼の産地として有名な佐賀県有田町に、知る人ぞ知る「猫壁ストリート」がある。SNSなどを通じて噂が口コミで広がり、〝隠れ猫スポット〟としてひそかな人気だ。

 「猫壁ストリート」は、佐賀県有田町の十区七山のひとつ、広瀬山地区にある「久光製陶所」の前にある。レンガ造りの煙突が立つ工場前の道路両側に、それぞれ10メートル以上にわたって、計25匹の色鮮やかな猫たちがペンキで描かれている。

 作者は同製陶所の絵付師・岩下佐代子さん(45)。最初に描いたのは約10年前。以来、少しずつ描き足してきたという。

 「うちは昭和初期の創業からずっと業務用の割烹食器を作っています。食器の図柄は植物や山水画などが主で、動物は描かないんです。ただ、昔から猫好きなので、どこかで猫も描きたくて。そこで工場前の壁をキャンバスに見立て、猫をアーティスティックに描いてみたら面白いのではと始めたんです」

 現在、自宅では3匹の猫を飼っている岩下さん。壁に描かれた猫たちは、道ばたで見かけた猫や飼い猫など自らが撮りためた写真を参考にした。

 まず下絵を描き、完成するとペンキで色を塗り重ねていく。「写真でこの表情はいいなと思っても、大きな壁に描くと全然よくないという場合が多々あって、実はボツにした候補写真が山ほどあるんですよ。ペンキは乾いてからその上にまた塗っていくので、1匹描くのに毎朝2時間ほど作業をして1カ月くらいかかりました」

 工場側の壁が完成すると「次は子猫を描いてくれん?」と近所の人からのリクエストがあり、今度は工場と反対側(自宅側)の壁に親子の猫たちを描いた。

 最も難しいのは目だという。「こちらを向いている猫は、多少見る角度が変わっても、目線がずっと合い続けるように、というのがこだわりポイントです」と岩下さん。親猫が子猫を守るときにみせる鋭い目つきも印象的だ。歳月が経ち、風雨にさらされて背景のペンキがはげている箇所もあるため、これからも修繕したり、新たに描き足したりする予定だという。

 例年ならゴールデンウイーク期間中、大勢の人出で賑わう有田陶器市は、コロナ禍のため2年連続中止となり(Web有田陶器市は開催中)、連休に入っても観光客はまばら。岩下さんは「有田には魅力的な窯元やギャラリーがたくさんあるので、コロナが落ち着いたらぜひ遊びにきてください」と話した。

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