「ママが喜んだのがイヤ」 謎の子ども心に共感する大人が続出! なぜ?心理学講師に話を聞いた

青島 ほなみ 青島 ほなみ

「店員さんにデザートをもらったときにママが喜んだのがイヤだった。喜ばないで」

感受性豊かな子ども心は、時に大人の理解が追いつかない場合がありますよね。今SNS上では4歳の女の子が「自分に良いことが起きた時に母親が喜ぶのがイヤ」だと訴えたというエピソードが注目され、さまざまなコメントが殺到しています。

「喜び」にネガティブなイメージを持つ人は少ないように思いますが、女の子には一体どんな思いがあったのでしょうか。女の子のお母さんで投稿主の小咲ももさん(@mangakakuhito)にお話を伺いました。

青島ほなみ(以下「青島」):娘さんは、普段どんな性格なのですか?

小咲もも(以下「小咲」):絵本を読んだり絵を描いたりするのが好きで、ユーモアがあって優しい性格です。しかし、感受性が豊かなところがあり、小さなことでも不安や悲しみを感じやすい子です。

青島:店員さんにデザートをもらった時の状況を詳しく教えて頂けますか?

小咲:大人はデザート付きのメニューを注文していたのですが、子供メニューはデザート付きではなく、元々は私のデザートを娘にあげるつもりでした。それが店員さんのご厚意で娘の分もサービスしてくださったので、店員さんに感謝を伝えるためにもと、「うわぁ、よかったねー!」と少し大袈裟な言い方をしたような気がします。

青島:多くのコメントが寄せられていましたが、印象に残ったものはありますか?

小咲:印象に残ってるリプライは、「椅子取りゲームで椅子をとられたような気持ちになる」というたとえや、「葬式で自分より泣いてる人を見ると悲しみが引っ込むのと似てるのかも」という話してくださった方です。他人の大きな感情を目にすると、感情というものは飲み込まれる性質があるのかなと思いました。

また、「同じことを訴えたとしても、自分の親なら"せっかく喜んでやったのに!"と怒るだろう」というコメントもとても印象に残りました。この社会には善意ですることは無条件に良いこととなると考えている人が多いような気がしていて、そんな思い込みが虐待やハラスメントにつながってしまうのではないかと思いました。

◇ ◇

小咲さんは、子どもの気持ちが理解できないものであっても親としてまずは尊重することを心がけているそうですが、寄せられたコメントの中には、「子どもの気持ちを尊重すると、繊細さを盾にワガママばかり言う人間になりそう」という厳しいものもあったといいます。この場合、どんな接し方をするのがもっとも適切だったのでしょうか? 育児情報も発信している心理学講師のポロンさん(@NpqTEEyGf8PrwxU)に話を聞いてみました。

ポロン:もちろん、子どもの感情は否定せず「そうなんだね」と聞いてあげるのがいいと思います。お母様の言ってることは間違っていません。ただ、お子さんは「喜ぶ」ことを否定しているわけではないのです。親が子どもよりも先に感情表現をしてしまうと、自分がするはずだった感情表現を横取りされたように感じる子どももいるのではないかということです。

私は今回のことは、親が感情表現豊かだと逆に子どもが自分の表現を失ってしまい、抑圧を感じるという興味深い例だなと思いました。大人でも「先に泣かれると泣けない」とか「誰かがテンション高すぎると自分のテンションが上がらない」というシチュエーションはあるのではないかと思います。

青島:今回、女の子はどのような心理状況だったと思われますか?

ポロン:子どもには子どもの感じるペースというものがあり、感情を動かされたときにそれを表現するまでに時間のかかる子もいます。今回はデザートをくれたことが嬉しくて、その喜びを表現するという過程の途中で、お母さんが子どもより先にそれを表現してしまったのではないでしょうか。

それによって行き場をなくした子どもの「感じた気持ち」が宙ぶらりんになってしまったのが、娘さんとしては気持ち悪かったのではないかと思います。娘さんの言った「心の中の小さなカーテンの中にいる人が心を追い出してしまう」(小咲さんの投稿より)という表現が実はそのままであったのではないかと思っています。追い出された心=表現の場をなくした感情、ということです。

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「大人になってもこの感情を覚えている」という声が多くあがった今回の話題。素直な心を持つ子ども時代だからこその繊細な感情にどう向き合うべきか考えさせられますね。

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