最高時速130km…とにかく速い!JR西「新快速」 半世紀にわたり走り続けた関西のスター

新田 浩之 新田 浩之

昨年、JR西日本が運行する「新快速」が運行開始50年を迎えました。「新快速」は関西では有名な列車ですが、関西以外ではまだまだ知られていないような気がします。関西人の知っている「新快速」の「すごい!」を解説しましょう。

運行開始50周年を迎えた「新快速」

JR西日本が運行する「新快速」は5府県(兵庫県、大阪府、京都府、滋賀県、福井県)にまたがって走る特別料金不要の列車です。東は敦賀駅(福井県敦賀市)、西は播州赤穂駅(兵庫県赤穂市)まで走り、沿線住民からの絶大な支持を集めています。

「新快速」の運行が始まったのは1970年(昭和45年)のこと。2020年に運行開始50周年を迎え、新たな活躍が期待されています。

「新快速」はどこがすごいのか

 

1)特急列車顔負けの速度

「新快速」の最大の特長はとにかく速いことです。日中時間帯における「新快速」のおおよその所要時間は以下のとおりです。

・大阪駅~京都駅:28分 42.8キロ(営業距離)
・大阪駅~三ノ宮駅:21分 30.6キロ(営業距離)

大阪~京都駅間においておおよその表定速度を算出すると92km/hにもなります。参考までにJR東日本・東京~八王子駅間(47.4キロ)における「中央特快」のおおよその表定速度は57km/hですから、「新快速」の速達性が際立ちます。

「新快速」の営業最高速度は130km/hにもなり、特急列車顔負けの速度です。このような速達性を支えているのが草津~西明石駅間の複々線です。実際に複々線区間で「新快速」に乗ると、「快速」や「普通」を軽々追い越します。

「日中は速くてもラッシュ時は遅いのでは…」と思うかもしれませんが、朝ラッシュ時のおおよその表定速度(大阪~京都駅間)でも86km/hにもなります。

 2)とにかく停車駅が少ない

先ほど説明した速達性ともリンクしますが、停車駅が少ないのも「新快速」の特長といえます。京都~三ノ宮駅間の停車駅は以下のとおりです。

▽京都~三ノ宮間(73.4キロ)の「新快速」の停車駅
京都、高槻、新大阪、大阪、尼崎、芦屋、三ノ宮

関東との比較はなかなか難しいですが、東海道本線・東京~小田原駅間(83.9キロ)における「通勤快速」の停車駅は計9駅です。

現行の停車駅も十分に少ないのですが、運行を開始した1970年当時の京都~西明石駅間の停車駅は京都、大阪、三ノ宮、明石、西明石のみ。東海道・山陽新幹線の接続駅であった新大阪駅に止まらなかったことが驚きです。「新快速」には「大阪・京都・神戸の3大都市を少しでも速く結ぶ」という使命があり、その使命感が停車駅の少なさに反映されているように感じます。

3)2列+2列の転換クロスシートの車内が快適

「速い」だけでは関西の人々は「新快速」を支持しないでしょう。「新快速」の車内は2列+2列の転換クロスシートを採用。「ライナー券」のような特別料金は不要なため、短時間であってもプチ旅行気分が味わえます。

「新快速」が今日のような転換クロスシートを採用したのは意外と古く1980年(昭和55年)のこと。当時の国鉄では長距離を走る快速列車の車内は直角ボックスシートが主流で、転換クロスシートを導入することは異例中の異例でした。

転換クロスシートを採用した背景には阪急や京阪が導入した特急専用車両の存在があります。このように考えると「新快速」は他社との競争の中で成長した列車といえるでしょう。

長らく「新快速=転換クロスシート」という図式でしたが、2019年に有料座席車両「Aシート」が導入されました。「Aシート」の車内は2列+2列のリクライニングシートが並び従来の「新快速」とは大きく異なります。

「Aシート」を利用するには乗車券とは別に追加料金が必要です。「Aシート」が連結されている「新快速」は1日上下各2本と本数は少ないですが今後の発展に期待しましょう。

筆者が小学生の頃(約20年前)はダイヤ改正の度に「新快速 何分短縮! スピードアップ!」みたいなポスターが目に付きましたが、最近は少なくなっているように感じます。

最近は「Aシート」導入のような快適性アップに重きを置いている「新快速」。51年目を迎え、ライバルと切磋琢磨しながら新たなステージで活躍することを期待しています。

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