バレーボール韓国女子代表の双子選手が学生時代にチームメートをいじめていたことが判明し、韓国バレーボール協会はこの姉妹を代表活動無期限禁止とした。事実上の代表資格はく奪により、韓国女子代表チームから人気と実力を備えた主力選手2人が追放されることになる。競技上の戦力ダウンより、いじめ廃絶と過去の被害者への配慮を優先した韓国側のスタンスが明確に示された。夜回り先生こと教育家の水谷修氏は加害者側が謝罪していることを踏まえ、過去のいじめを10年近くたった今も問題視する韓国側の対応への違和感をつづった。
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韓国の有力な24歳の女子バレー姉妹選手が、中学時代におこなったいじめや校内暴力問題を告発され、それを認めて謝罪した。そして、それを受けて、2人とも韓国代表資格を剥奪されたという報道がなされました。
私は、ずっとこの問題について考え続けています。いじめは、人間関係においてあってはならない行為です。たとえ、子ども同士の間であっても。その行為によって、相手を不登校からひきこもりに追い込んでしまったり、大切な命まで自死によって奪ってしまう、他者の人生や未来を奪う許されざる行為です。
私のもとにも、いじめによって、対人恐怖や不安症になり、10年、20年不登校からひきこもりのなってしまった人たちから数多くの相談が来ます。いじめは、その被害にあった子どもの心に深い傷跡を残します。彼らの多くは、自分をいじめた人たちへの憎しみを抱え、またそれに対して守ってくれなかった学校や社会、教員に対して不信感を抱き続けています。
このことを考え得れば、今回の韓国の対応は、批判する余地はありません。しかし、いじめがあったのは、10年近く前の、しかも彼女たちが中学校時代のことです。未熟な中学生がしてしまったいじめを、今になってこのように裁くことに問題はないのでしょうか。
報道によれば、この2人の選手は、告発のすべてを認めて、謝罪したとのことです。それでも、ここまで厳しく追い込むべきなのでしょうか。何か、他の解決法はなかったのでしょうか。たとえば、被害者との間に立ち、被害者が納得できる謝罪の仕方を検討することはできなかったのでしょうか。
この問題に関して、為末氏が、ツイッターで、「日本でも起きそうです」と警告しています。私も、そう感じています。スポーツ界のみならず、芸能界、政界などで、有名になった人で、過去にいじめをしたことがある人たちは、もし、このようにSNS等で告発されたらどうするのでしょう。また、それを知った国民は、企業は、政党はどう動くのでしょうか。
いじめ、許すことはできません。でも、それを認め償えば、許してもいいのではないでしょうか。
でも、きっと私の関わっているいじめによって人生を変えられてしまった人たちは、許せないと言うでしょう。その気持ちも十分わかります。
私は、今も考え続けています。今も、私としてのきちんとした回答が見えません。