自ら客を得ようと受話器を引きずって歩き続けた…公衆電話を擬人化した粘土アートが話題に

中将 タカノリ 中将 タカノリ

赤レンガの壁に力なくもたれかかった満身創痍の公衆電話…

公衆電話を擬人化した粘土アートがSNS上で大きな注目を集めている。この粘土アートを制作したのはりんごさん(@55Ringoame0v0)。

「携帯が普及して公衆電話を使う人が減ってしまった。ならば自ら客を得ようと受話器を引きずって歩き続けた公衆電話の最後の姿という妄想。雨の日も風の日も歩いたんだろうなぁ」

なんとも切ない設定もその独特の世界観を引き立たせるのか、SNSユーザー達からは「壁に倒れ込む感じが、切なさを際立たせて凄く良いです!受話器を引き摺ってるトコロとかも…新たな都市伝説が始まる!」「むしろ、自立しないで壁に寄りかかる感じが、満身創痍感を引き立てて成功している気がしますね……。」「緊急入院で荷物やら何も持たず病院に放り込まれた時に、家に連絡入れる為にお世話になりました。使う人が減ってもいざって時近くにあると助かるものですし、細々とでも生き残って貰いたいもんですなぁ」など絶賛の数々のコメントが寄せられている。

この作品についてりんごさんにお話をうかがってみた。

中将タカノリ(以下「中将」):非常にユニークな世界観の作品ですが、着想をお聞かせください。

りんご:公衆電話の部分はタカラトミーアーツのNTT東日本公衆電話ガチャコレクションのMC-3Pという電話機です。

今回の作品を作るきっかけは思いつきでした。全種類集め、そのまま棚に飾っていたのですが「面白い飾り方はないかな」と、ふと思いついたのが粘土で2本足を作ってくっつけることでした。はじめは簡単に作った2本足をくっつけて棒立ちにさせました。すると受話器が落ちたので元に戻そうとしましたが、そのまま引きずって歩いてたほうが面白いなと思ったんです。

携帯が普及して使ってくれるお客さんが激減したから自分で歩いて営業してるというホラーな妄想がひろがり、「サビていたらもっと雰囲気がでるな」と歩くサビだらけの足の作成と公衆電話の塗装に取り掛かりました。

中将:制作にあたり特にこだわったポイントをお聞かせください。

りんご:百均のアンティークメディウムとマンガ用の墨汁を使いました。汚れ過ぎると不自然なのでちょうど良い感じに仕上げるため塗っては拭き取りを繰り返しました。

いざ完成すると棒立ちの時とは違い歩行中のポージングのため自立せず、壁にもたれるように倒れてしまいました。ですがかえってそれが雰囲気を醸し出して、今回の歩き疲れて止まってしまった公衆電話になったのです。写真に撮ってみると思ったより切ない気持ちになりました。

中将:絶賛のコメントが多数寄せられていますが、反響へのご感想をお聞かせください。

りんご:YouTubeに制作過程をのせるつもりでしたが、自立しなかったので動画を消し写真だけアップしました。予想以上に反応を頂き驚いております。皆様からは「震災の時にはお世話になりました。」「入院した時、実家との連絡使っていたのを思い出した」「切ない」「かっこいい…」など多くのコメントを頂き、色んな見方やそれぞれの思い入れに触れる事ができて、こちらも公衆電話を使っていた頃の記憶を思い出し懐かしい気持ちになりました。

「りんご」さん関連情報
Twitterアカウント:https://twitter.com/55Ringoame0v0
YouTubeチャンネル「りんごクレイ」:https://www.youtube.com/channel/UCRI7aeb5I8_L5y7t_ygF7gQ?app=desktop
◇ ◇

りんごさんはご自身のYouTubeチャンネルに、今回の公衆電話とは別の設定を元に作った作品も投稿している。

「座る公衆電話」というテーマで、使ってくれる人がいなくなり余生を楽しむため一人旅をしていた公衆電話が夕日を眺めているものだ。撮影風景、制作風景も盛り込まれたボリュームのある内容なので、ご興味のある方はぜひチェックしていただきたい。

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