東海からは名古屋へ、甲信越は東京へ、若狭地方、伊賀地方からは大阪へ…
中部地方の主な市町村から東京都、愛知県、大阪府への転出数の比率を可視化したグラフがSNS上で大きな注目を集めている。
このグラフを制作したのは、紀伊半島の風景写真や、地理について思いついたことを図表化してSNSに投稿するのが趣味だと言う紀つねさん(@kiinochirisuki)。
地理、交通、経済、文化などさまざまな事情や重なった結果生まれた微妙な地域差に、SNSユーザー達からは「もちろん実際には他府県への転出もあるわけですが、関東・中京・関西への志向性の違いがみられて面白い!」「名古屋市から名古屋市以外の愛知県内への転出が、東京、大阪への転出よりもこんなに多いんですね!」「北陸、長野、新潟の東京への転出率の高さが東京からの新幹線開業によるストロー効果の結果なのかどうか、上越新幹線や長野新幹線開業前のデータも見てみたいですね。」など数々のコメントが寄せられている。
紀つねさんにお話をうかがってみた。
中将タカノリ(以下「中将」):地域ごとのさまざまな志向が可視化されていて大変興味深いグラフでした。このグラフを制作されたきっかけをお聞かせください。
紀つね:以前、「紀伊半島(和歌山県・三重県南部)の転出先の大阪府と愛知県の比率」というテーマで円グラフの一覧を作ったことがあって、反響があったので、三大都市圏からそれぞれ影響を受けている中部地方でも同じように作ったら面白いのではないかな、と思い制作しました。
中将:実際に制作されてみて、どんなご感想を持たれましたか?
紀つね:北陸3県(福井・石川・富山)の東・名・阪への転出のバランスの良さや、静岡県の東から西にかけての東・名の比率の移り変わりがグラデーションで美しいと思いましたね。富山県と新潟県なんかは隣同士なんですがその内訳は全く異なっていて、北アルプスの険しさを感じます。
中将:ご興味を持たれた方からさまざまなコメントが寄せられていましたが、反響をご覧になったご感想をお聞かせください。
紀つね:オレンジの割合、すなわち愛知県への転出率の高さに驚かれるコメントが多かったですね。そもそも愛知県はこの中では接している県が多いので有利なのですが、中京圏の底力をアピールできたのではないかなと思います。実際は東京なんかは神奈川県等、大阪だと兵庫県等周辺府県に住む人も多いでしょうから、実勢は青と緑の割合は増えるとは思いますが…そこまで入れると東京が強すぎるので(笑)。
◇ ◇
「あくまで自分が楽しむために統計の一面を切り取っただけなので、あまり鵜呑みにはしないでください」と謙遜されていた紀つねさんだが、今回制作されたグラフは中部地方の各地域の人々の志向を知る上で大きな助けだ。
インタビュー中でも少し触れたが、紀つねさんは今回ご紹介したグラフ以外にもさまざまな興味深い投稿をされている。地理や地方文化に関心のある方はぜひチェックされたい。