怪我の功名?ギターの端材で作った飲食店のユニーク食器 コロナ禍が生んだコラボに注目集まる

中将 タカノリ 中将 タカノリ

二度の緊急事態宣言を経ても、まだまだ止むところを知らない新型コロナウイルスの感染拡大。

特に飲食業界や音楽業界はその悪影響を大きく受けているが、今、神戸では飲食店とギター工房がコロナ禍を乗り切るべくスタートしたあるコラボレーション事業が注目を浴びつつある。

件のコラボレーション事業というのは神戸・新開地の人気バル「肉バルSow」と老舗ギター工房「Top Guitars」によるギター端材を利用した食器の製造。

普通なら食器にはしないようなギター向けの高級木材を使うのだが、あくまで端材なので、安価で高い品質のものを作ることができるのが強み。昨年秋から実際に肉バルSowの店舗で使用し始めたところ、口コミが広まり、他の飲食店でギターファンから問い合わせが殺到しているのだという。

肉バルSow代表の石井孝宣さんとTop Guitars代表の花木伸哉さんにお話をうかがってみた。

中将タカノリ(以下「中将」):今、ギター製造の業界はどのような状況なのでしょうか?

花木:ステイホームの影響で大手メーカーの中には業績を伸ばしている所もあるようですが、うちのようにプレイヤーとの個人的な繋がりでやってきた工房は大きなダメージを受けています。元々、景気の影響を受けやすい業界なのですが、昨年度の業績は最悪でした。

中将:飲食店としてはこの1年間はいかがでしたでしょうか。

石井:初めの緊急事態宣言の時はお店を長期休業せざるを得ませんでした。いろんなお客様のお力添えでどうにか持ちこたえてこられましたが、スタッフを抱えているので大変なことはたくさんありました。

中将:ギターの端材で食器を作るというアイデアはどのように思い付かれたのでしょうか?

石井:僕は元々ミュージシャンで、花木さんの作ったギターを使っているのですが、端材でいろんな物を作ったことがあるというお話を聞いて木皿は作れないかと提案しました。

うちは肉バルなので木皿を使うんですが、決して安くありません。お話をするうちに、ギター端材を使えばとてもコスパのいい木皿が作れることに気がついたんです。

花木:ギターのボディに使う木材は一般的な食器に使うものより含水率が低く、上質で耐久性があるんです。またメイプル、マホガニーなどギターを弾く方にはお馴染みの木材を食器にできるのは、職人としても面白いなと思いました。

中将:昨年秋からお店でも使われているようですが、反響はいかがですか?

石井:ギターを弾く方はもちろんですが、弾かない方でも興味を持っていただけることが多いです。ハードに使っても痛みが少なく、業務用食器としても重宝してます。昨年末から店舗用、ご家庭用にお問い合わせをいただく件数が増えて驚いています。

花木:ギター職人としてはあくまでサブワークなんですが、音楽やギターの要素をみなさんのお食事の場に提供できるのは嬉しい限りです。これで喜んでくださる方がいるなら、ぜひ頑張らせていただきたいですね。

【肉バルSOW 】

所在地:兵庫県神戸市兵庫区新開地3-3-4
TEL:078-579-8608
メールアドレス:ic0314guitarist@gmail.com

【ギター端材食器参考価格】

楕円形の木皿 800円(税別)~
カッティングボード型 650円(税別)~
メニュー台 2,800円(税別)~

※一般向けは3枚、店舗用は5枚から
◇  ◇

コロナ禍を乗り切るべく、飲食と音楽が結び付いたこの食器製造事業。コロナ禍自体は災厄でしかないが、こんなユニークなコラボレーションが成立したのは怪我の功名と言えるかもしれない。

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