30億円相当のルビー盗難通報から一転「何も盗まれていない」…小川泰平氏が不可解な点を指摘

小川 泰平 小川 泰平
30億円相当のルビー原石盗難の通報で警察が駆け付けたが…(naka stock.adobe.com.jpeg)
30億円相当のルビー原石盗難の通報で警察が駆け付けたが…(naka stock.adobe.com.jpeg)

 東京・銀座のビルで「30億円相当」とされるルビーの原石が盗まれたという110番通報が27日正午ごろにあり、大きく報道された後、一転して実際には盗まれていなかったことが分かった。現場で取材に当たっていた元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は当サイトに対して「なぜ通報したのか? 通報する事情があったのか?」などと疑問点や不可解な点について見解を語った。

 警視庁によると、27日正午ごろ、東京都中央区銀座6丁目のビルで「商談中に30億円相当のルビーの原石が盗まれた」と男性から110番があった。「現場では宝石売買の商談が行われており、盗まれたルビーの原石は重さ4キロで30億円相当。現場から逃げたのは男2人と女1人で、この男2人は20~30代くらい。エレベーターを使って逃走した。警視庁は窃盗事件として捜査している」という内容が報じられ、現場には規制線が張られた状態で、付近一帯パトカーや捜査車両で埋めつくされた。またテレビや新聞など多くの報道陣も詰めかけた。

 ところが、警視庁が捜査した結果、原石は実際には盗まれておらず、「商談」に立ち会っていた所有者の女性が持ち帰っていたことが分かった。通報した男性は「原石は重さ4キロほどで30億円くらいの価値がある」と話していたという。警視庁は商談をめぐるトラブルが背景にあるとみて詳細を調べている。

 小川氏は「13時半には現場の規制線が取られたので、犯人が捕まったなど、何らかの動きがあったのかと思いました」と現場で感じた様子を報告。しかし、実際には盗まれたという事実はなく、通報によって警察や報道関係者らが振り回される格好となった。

 こうした「ドタバタ劇」を踏まえ、小川氏は「不思議なのは、原石の持ち主が持ち帰っただけなのに、なぜ、この男性は110番したのかということです。なぜか?全く分かりませんし、何か普通ではない感じです。何かトラブルがあったとしか思えません」と指摘した。

 また、通報にあった「男性2人」について、同氏は「現場に来ていたのかも知れませんが、『逃げた』なども含め、本当かどうか分かりません。なぜそういうことを警察に話したのかという疑問も残ります。詳細は不明ですが、警察が今後、任意で通報者や持ち主の女性ら関係者に事情を聴くことになると思います」と見解を示した。

 今回は「事件」ではなかったが、一時は事件として「報道」されたことは事実。その中で報じられた「30億円」という被害額について、小川氏は「正規に被害届を受理していない段階で出た金額については『30億円の売買をしようとした』ということであって、とりあえず、その金額が報じられたという事になります。定価や販売価格がある程度決まっている物なら難しくはないのですが、宝石類、骨董品、絵画等は被害額が難しく、被害者の申告通りといかない場合もあります。被害品をいつ、どこから(誰から)、いくらで購入し(仕入れ)たかということ等、聴取し裏付けを取った上で被害額を決めます。場合によっては専門家の意見等を聞く場合もあります」と説明した。

 また、同氏は「今回の現場には防犯カメラが非常に多かった。窃盗事件ではなかった今回は別にしても、コロナ禍で全員がマスクをしていますので、防犯カメラに写ってもすぐには分からないということで、防犯カメラがあっても強引に犯行に及ぶケースも多いのが現実です」と、より厳重な防犯対策を呼びかけた。

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