世界初の線虫がん検査、大阪・梅田で一般受付スタート コロナ禍で病院での検診激減の中、尿1滴でリスク判定

杉田 康人 杉田 康人

世界初の線虫によるがん検査を行う医療ベンチャー企業・HIROTSUバイオサイエンスが18日、大阪・梅田に国内3カ所目となる検査受付拠点「N-NOSE(エヌノーズ)ステーション OSAKA」を開設。同日から検体受付を開始した。

「N-NOSE」は、土壌に生息する線虫が持つ犬よりも優れた嗅覚を利用。がん成分を含んだ尿の匂いには引き寄せられ、健常者の尿の匂いからは逃げていく特性を生かした。尿1滴で、がんのリスクを判定することができる。

わずかな尿で判定できるため、痛みを伴わない。線虫の飼育コストが安いため、検査料金は10500円(税別、検査結果の送料700 円込み)と安価。線虫は15種のがんに反応することが分かっており、一度の検査で全身のがんリスクを調べることが可能で感度も86.3%と高い。

検査希望者は、専用サイトから検査を申し込む。自宅や勤務先に届いた検査キットに尿を採取し「N-NOSEステーション」に提出。営業時間は平日・土曜日の午前8時(土曜は午前9時)~午後4時。大阪駅前の第一生命ビルディング地下1階に立地し、アクセスも至便。出勤前や昼休みに訪れることができる。提出は1分かからず、約6週間で結果が届く。

日本のがん検診受診率は諸外国と比べて低いうえ、新型コロナウイルスへの感染を恐れて病院などでの検診受診者が大幅に減少。公益財団法人日本対がん協会によると、2020年5月の受診者数は前年同月比8%にまで急減した。

HIROTSUバイオサイエンスの担当者によると、これまでは医療機関を通じて検査を提供してきたが「コロナへの感染リスクを減らすために、医療機関に行かず、検査を受けられるようにしてほしい」との声が多く寄せられ東京、福岡で一般受付を開始した。

昨年11月の受付開始2週間で3000人が申し込むなど、これまでに約1 万人が検査したという。「手軽さがアドバンテージ。コロナも怖いが、がんで亡くなる方の人数も怖い数字。リスクを知ることで、5大がん検査などを受ける動機づけになれば」と担当者は話す。

開設初日のこの日、検体を提出に訪れた大阪市の高畠幸子さん(43)は「友人が喉頭がんで亡くなった。気になってがん検診ができるタイミングをうかがっていたが、コロナで病院は行きづらい。気軽に行けるし、1万円ちょっとなのも安心材料です」と話していた。

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