桂浜水族館(高知県高知市)で今秋誕生した4頭のコツメカワウソの赤ちゃんが、離乳食に挑戦する様子がSNSで注目を集めています。
「いやだぁぁぁぁああああああああ乳離れしたくなぁぁぁああああぁあああいサバなんか食べたくなぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああ……ん?………うまいやもしれん。」という文言とともに、同館はサバを飲み込むコツメカワウソの赤ちゃんの画像を12月10日投稿。こちらのツイートには12月17日現在、13.5万件の「いいね」がつき、大きな反響を呼びました。
4つ子の赤ちゃんたちの性別はメスが2頭、オスが2頭で、12月16日現在の体長は30センチ前後、体重は500グラム。母親の「桜(おう)」と父親の「王子」間に誕生した初めての子どもで、飼育員もコツメカワウソの赤ちゃんを飼育するのは初めて、という関係者全員が初心者での子育てがスタート。全員元気に成長し、新春1月2日に晴れてお披露目する運びとなりました。
現在、お乳から、サバやワカサギなどの食事に移行しつつある赤ちゃんたち。コロナ禍の中、ともすれば縮こまりそうになるわたし達の心ですが、必死で生きようとする姿を見るだけで勇気づけられる気がします。さらに詳しく離乳の進捗などについて、飼育担当の同館ショーチーム・リーダーの丸野貴也さんに聞きました。
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――公式YouTubeの動画を拝見しました。一番小さい女の子がワカサギを食べる様子をかたずを飲んで見守ってしまいます。彼女の離乳率が65%だとすると、一番大きな男の子の離乳率は5%だそうですね。
はい、小さい女の子は魚を見る目が変わってきました。こちらが抱きかかえてキャットフードや魚を食べさせようとするのではなく、自分で食べるようになれば100%離乳ですね。
――上手く食べてもらうために工夫していることはありますか。
うーん…後ろから抱きかかえて、左右の口角をつまんであげると口を開けてくれます。そして最初はちょっと大きめの切り身を与えて、だめなら小さくして…でも無理強いは絶対しません。
それぞれの「イヤだ(食べたくない)」には段階があって、言葉にするのはむつかしい…んですけど、その限界を超えてまで食べさせることはしません。皆、初めてのことに挑戦していて、それは赤ちゃんも僕たちも同じだし、人間の子と同じで成長に個体差があるのは当然だと思っています。
――チャレンジの間中、ずっと赤ちゃんにお声がけしているのは、食べてもらうためのテクニックなのでしょうか…?
いえ声をかけるのはテクニックではありません。「良かったね、やったね」って無意識に声が出てしまう。撮影した動画を後で見返して、こんなこと言っていたのか…と自分で思うこともしょっちゅうです。
――赤ちゃんたちが上手く食べ物をのみ込めなくても、決して叱らず、笑顔で「ありがとう」と言ってあげていますね。
その子のペースを大事にして、寛大な心で「食べてくれたらラッキーだな!」と思っています。それが赤ちゃんたちに伝わっていたら嬉しいです。
――他にも成長のために気をつけていることはありますか。
お母さんの桜(おう)ちゃんの食欲や体重をチェックしています。まだまだ皆、お乳が必要で、お母さんの栄養状態が良くないと良いお乳が出ませんから。現在お乳の出も良く、母子ともに健康状態は良好です。
――新年の一般公開に向け準備していることは?お名前は決まりましたか。
朝、準備室から展示エリアに両親が移動するのを、赤ちゃんたちが後からついていきます。これまでは子どもたちだけ引き上げて、体重測定をしていました。今は、自然な流れで一緒に来てもらって、展示室の環境に慣れてもらっています。
公募はしめ切りましたが、おかげさまで全国からたくさんのお名前が寄せられ、現在審査中です。12月25日に命名式を行い、それぞれに「クリスマスプレゼント」として「名前」をあげよう、と思っています。
――それは素敵なギフトですね。
はい、一般公開時にはぜひ名前を呼んであげてください。お客さんにたくさん愛されるカワウソになってほしいと願っています!
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▽公式Twitter:
https://twitter.com/katurahama_aq
◇公式YouTube:
https://www.youtube.com/channel/UC-X5T2sXAHcZdQ8mS6D_wMw