9月28日未明に桂浜水族館(高知県高知市)で4頭のコツメカワウソの赤ちゃんが誕生しました。同館は成長の様子をSNSなどで発信中、人気を集めています。
「2020年10月28日(水)今日は桂浜水族館で生まれたコツメカワウソベイビーズの生後1ヶ月記念日です!すでに両目が開いてる子もいれば、まだ開いてない子もいるけれど、みんな元気に成長しています。一般公開は年末年始を予定しているので、まだしばらくツイッターでそっと見守ってあげてください」という同館の投稿に11月11日現在、1.7万件の「いいね」がつきました。
上記のツイートには祝福の言葉の他、「cuuuuuuute」と英語のコメントも寄せられるなど、その愛らしさが国内だけでなく海外の人々の心をもつかんでいる様子がうかがえます。反響に同館の秋澤志名館長は「コロナ禍で何かとマイナス思考になりがちだからでしょうか、通常より新しい生命の誕生を喜んでいただいているように感じます。ベビーたちの成長の様子に希望を託せる、とあたたかいお気持ちでいてくださるようです」と話します。
さらに詳しい成長ぶりなどを、飼育担当の同館ショーチーム・リーダーの丸野貴也さんに聞きました。
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――本当に可愛らしい動物ですね。
ありがとうございます。元来、コツメカワウソは東南アジアの沼や川などの湿地に生息していますが、国際自然保護連合のレッドリストに指定された絶滅危惧種であり、ワシントン条約で国際取引が規制されるなど個体数は減っています。野生では1家族ないし2家族の群れで行動する社会性の高い、また自分の家族を大事にする動物です。
またカワウソの中では一番小さく、成体でも体長は70cmくらい、体重2.5~4キロほど。学習能力が高く、一般のお客さんと飼育員の声はちゃんと聞き分けています。
――家族愛が強い、と。
パパである王子くんもママである桜(おう)ちゃんも、今回初めての子育て。コツメカワウソのおっぱいは4つで、ベビーも4頭。お乳の取り合いになったり、授乳に偏りが出たり、育児放棄になったら…などと気を揉みましたが杞憂でした。王子くんも授乳する桜ちゃんに寄り添って母子を見守っています。
――ベビーたちの各々の成長過程に違いはありますか。
生後30~38日で4頭とも目が開きました。一番身体の大きい男の子が一番開眼が遅くてはらはらしてたんですけど、無事に開いてくれてほっとしてます。
これから外の世界を自分の目で見て、感じて、「好き嫌い」の個体差が出てくると思います。
――具体的には?
たとえばパパの王子くんは水があまり好きではなくて、ママの桜ちゃんはロープ遊びが大好き。好むものに違いがあります。だから、好きなものが分かれば、なるべくそれに触れる時間を長くしてあげられるよう、環境を整えるのが飼育員の仕事です。
――成長の様子を投稿したTwitterやYoutubeにたくさんコメントが来ていますね。
はい、皆さん「こんなところを見てくださっているのか」と気づきがあります。例えばコツメカワウソの「コツメ」は「小爪」から来ていますが、ベビーの時は爪が(手の大きさに対して)大きいんです。それに気づいてくださったりだとか、あと、体重測定などで赤ちゃんを持ち上げるとき首の後ろをつかむんですけど…。
――動画で拝見して、気になっていました(笑)。
ですよね(笑)「そんな持ち方で大丈夫?雑じゃない?」みたいなコメントをいただきますが、パパママが赤ちゃんを運ぶとき、首の後ろをくわえて移動するんです!コーナーを曲がるときとか首から下がブンッ、と揺れてますから!それに比べたら、本当に優しく気をつけてつかんでいます(笑)。両親のやり方にならった持ち方ですのでどうぞご安心ください!
――年末年始に公開予定だとか。
まだあくまでも「予定」ですが…離乳が無事に済んで、自分でエサを食べられるようになれば体調管理がしやすくなるので、公開はそれからです。今のコロナ禍の状況下では直接的なふれあいは無理ですが、ぜひお声をかけてやってください。ちゃんと皆さまの声を聞いていますし、名前が決まれば、名前を呼んであげて欲しいですね。
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