これは私の友人Aさんの話です。
Aさんが以前勤めていた職場の上司Bさんは女性の変化にとてもよく気が付く人でした。
はじめは「あれ?今日はいつもと目元の色が違うね!似合ってるよ!」「髪切ったんだね。長いのもいいけど、短いのも似合ってるよ!」など、メイクや髪型などの小さな変化に気が付いては褒めてくれるので「男性なのに女性の変化によく気が付く人」と考えていたそうです。
しかし、Bさんは「よく気が付く」だけではなかったのです。
Aさんが仕事に慣れてきた頃から、Bさんから込み入った話をされることが増えていきました。Aさんは先輩と2人で受付の仕事をしているのですが、「先輩がいないときによくBさんがくるなあ」とふと感じたのだそう。
最初は偶然だと思っていたのですが、一旦そう感じてしまってからというもの、毎回Bさんが来るときは先輩がいないことが気になるようになっていました。
そして話の内容も変化していき、食事に誘われたりすることが増え、Aさんが「彼氏がいるので」と断ると、今度はBさん自身の性生活や性癖について話してくるようになり、だんだんと「気持ち悪い」とBさんとの会話に負担を感じるようになったそうです。
第三者に意見を求める
その状態が一年ほど続いたある日。Bさんがいないときに先輩に意を決して相談してみると、「いままで気付かなくてごめんね。私もなるべく一人にしないようにするから。それからこの内容は、総務の方に連絡して詳しく話をしたほうがいい」とアドバイスをされたそうです。
先輩からのアドバイスで勇気が出たAさんは入社以来、仲のいい総務の女性CさんにBさんのことを相談し、後日事実関係の確認をされました。
「そっか。私もエリアで回ってるから、なかなかその場にいられなくて気が付かなかった。いままで辛かったね。じゃあ、私がいまから聞き取りするけど、大丈夫かな?いままでされたことを時系列がぐちゃぐちゃになってもいいから話してみて」と優しく言われ、Aさんは涙ながらに抱え込んでいたことをすべてCさんに話したそうです。
その後、Bさんへは事実確認が行われたようなのですが「事実無根」と否定して、事実を一向に認めなかったようですが、Aさんが付けていた日記とスマートフォンで録音していた会話が決め手となり、Aさんに謝罪をすることとなったそうです。
その結果、Bさんは役職を降格し、他の系列会社へ左遷されました。
Aさんはその後、安心して働いていましたが、自身の結婚が決まり退職しました。
しかし、風の噂によるとBさんは左遷先でも同様のことを繰り返しているようです。
セクハラに泣き寝入りせず戦う勇気を!
セクハラは直接的な接触がなく、それが言葉であってもセクハラです。
「ちょっとふざけたつもり」「笑っていたから面白がってくれている」なんて大間違いです。受けた側には傷が残ります。
セクハラを受けた側も、相手が上司だからと泣き寝入りせず、自社の相談機関などを利用する勇気を持つことが大切だと思った一件でした。