日本人初のジョージア民族舞踊ダンサー・野口雅史さん(33)は日本に踊りを広めようと奮闘している。劇団四季の元俳優から一念発起し本場のジョージアへ。現在、第一人者として活躍している。
ジョージアンダンスに魅了されたきっかけは、日本で感じていた自己評価の低さだった。野口さんは劇団四季に約6年間在団し「アラジン」のイアーゴ役などで活躍。だが、1つの役に何人ものキャストがつく環境で「僕じゃなくてもいいのかな」と自身を過小評価していたという。そんなとき「日本で誰もやっていない」ジョージアンダンスに出会い、第一人者になろうと決心。踊りのカウントに必要な1から8までのジョージア語だけを覚えてすぐ、2018年に日本を離れた。
ジョージアンダンスは激しくキレのある動きが特徴。両膝を床についた状態から手を使わずに跳ね起きる技や跳び上がって高速回転する技が使われる。群舞の合間にはソロパートがあり「自分の良さや情熱をアピールする踊り」と解説する。
野口さんは現在、ジョージアの国立舞踊団「ルスタビ」の研修所で修行している。初舞台は渡航してから1年3カ月後。日本人で初めて本場の舞台に立った。「踊りの最後を埋めるのはハート」だといい、民族舞踊を踊りこなすには歴史や文化から生まれた国民性の理解が重要と語る。
将来は「日本にジョージアンダンスの舞踊団を作りたい」という。今はSNSでの発信に力を入れ、日本に踊りを広めている。YouTubeでは人気グループ・NiziUの曲にジョージアンダンスの動きを取り入れた動画などを披露。「仲間が欲しいので『ちょっと頑張ればできるかも』と思われるように」と狙いを明かす。
コロナ禍では日常が激変した。稽古場の閉鎖や公演の中止。思うように練習ができない中、在留資格の都合で12月中に日本に戻ることになった。しかし「あくまで一時帰国」だといい、本場でのさらなる修行に意欲を見せているた。
◆野口さんのYouTubeチャンネルhttps://www.youtube.com/channel/UCBkuBrat_H-TFUCOEDa_7_A
(まいどなニュース/デイリースポーツ・今井佳奈)